2014年11月27日木曜日

なんか画像データが壊れていますね

どうも、お久しぶりです。
不定期更新どころか完全に更新が止まっていて(CEDEC2014の講演の後とか一番アクセス集めるタイミングなのに)すみませんです。今のところ12月中旬には再開したいな~と考えています。

それと、原因不明ですが、画像データ関係が壊れちゃっているみたいです。
こちらも順次復させて行きますので、今少しお待ちください。

2014年7月14日月曜日

すみません、しばらく不定期掲載になります

先日、「更新は月・木で」といったばかりで大変心苦しいのですが、すんません!しばらく不定期掲載に変更します。

今やっているメインの仕事が8月ピークとなりそうで、その他「特濃!ゲーム開発塾」やら「CEDEC2014」やらの準備もあり、このままでは連載のクオリティが保てないと判断しました。

落ち着き次第、定期連載に戻したいと思いますので、どうかご容赦ください。<(_ _)>

2014年7月10日木曜日

【第64回】体験を言葉にする


前回お話した「④どのような体験を与えればそうできるか?」ですが、体験感を言葉にしようとするときに、なかなかワクワクするイメージにならないことがあります。

  • 「巨大ロボットで戦う爽快感」
  • 「敵基地に侵入する緊張感」
  • 「理想の恋人との生活」

たしかにどのような体験かは書かれているのですが、今一つイメージが伝わってきません。
そこでオススメなのが、人(or擬人化)+擬音の組み合わせです。

「人」に入るのはあこがれの投影対象です。自分の置き換えなので「ロボット」とか「猫」とか自分がなりかわるイメージができるのなら人間そのものでなくてもokです。

擬音というのは簡単ですね。
「ドキドキ」「スカッ」「ホッ」「ホンワカ」「ギャア!」「ケラケラ」「くすくす」「ニンマリ」「ドヤァ」「ひええ」「ピリピリ」「ハラハラ」etc.
自分のイメージを伝えやすい擬音を考えてみましょう。擬音以外には「感情の伝わりやすい動詞」でもokです。

  • リアルでは恥ずかしくてできないような恋人とのアツアツなカップル生活
  • 1分に1回「ぎゃあ!」と叫びたくなるホラー体験
  • スパイが敵の本拠地に侵入するピリピリとした緊張感
  • 巨人になって敵の城を「ドカッ!」と殴る重量感
  • 弱小軍の軍師が作戦で大軍に勝利する「ドヤァ」な してやった感
  • 有能なキャリアウーマンになって仕事をテキパキと片づける爽快感

また、イメージできる具体的な「場所」での非日常体験というのも伝わりやすくなります。

  • いつもはノロノロと車通勤している公道で、時速100kmでギュィーンとぶっ飛ばす爽快感
  • オフィスで不倫するドキドキな背徳感
  • ホワイトハウスや皇居など有名な建物に侵入するハラハラ感

こういった言葉を使って、自分のイメージしている体験感をうまく伝えましょう。

2014年7月7日月曜日

【第63回】ゲームが目指す体験

さて今回は「④どのような体験を与えればそうできるか?」です。
このシートのタイトルが「ゲームが目指す体験」になっているように、この項目がこのシートで一番大切な部分です。
これは「①何が問題か?」と「③どうなりたいのか・どうしたいのか?」を橋渡す解決策であり、ゲームの内容を考える根幹だからです。

例えば「①父親と子どものコミュニケーションが足りていない」→「③ゲームを通じて親子のコミュニケーションを活性化したい」から考えてみましょう。
もし、②「原因」が「父親の仕事等で平日はすれ違い気味なのでコミュニケーションできる時間が限られてる」であるならば、「一緒にゲームプレイをする」という方法はなかなかとれません。
そうなると④「どのような体験?」は「同じ時間を一緒にプレイできなくても、信頼できる仲間と一緒に力を合わせているようなワクワク感」という感じがよさそうです。

ゲームシステムや世界観は与えたい体験を実現する手段でしかありません。どのような体験を与えて問題を解決したいのかをしっかりと見極めましょう。

2014年6月30日月曜日

更新お休みのお詫び(6/30)

本日(2014/06/30)、諸処の事情により更新できなくなりました。ごめんなさい。

2014年6月26日木曜日

【第62回】肯定的な情報ばかり探さない


問題点やその原因が正しいかどうかを調査していると、どうしても自分の企画に有利な情報だけを都合良くピックアップしたくなります。これは、プロのでもうっかりやってしまう。
自分の企画はどうしても愛着があるので、なんとか説得力を持たせようとして、つい都合の悪い情報は目をつぶりがちになるのです。
しかしながら、否定的な情報というのは、企画を通す場において相手からツッコまれる危険性のある情報でもあります。そういった情報をきちんと把握した上で対策や反論をあらかじめ持っていると、その企画は説得力が高くなります。

一番いいのは、最初から「肯定的な情報」「否定的な情報」の両方を意識的に探すことです。
Wordでも紙の上でもいいですが、ページを半分にして「肯定的な情報」「否定的な情報」と見出しを付けます。そして、調べた情報を記入していきます。
どちらかが少ない場合(たいてい「否定的な情報」ですが)、意識してそちらの情報だけを探すようにします。そうしたのち両方の内容を比較して、問題点やその背景についてについて誰もが同意できるものになっているか、否定的な情報に対してきちんと反論できるかを再考するのです

場合によっては否定的な情報の方が優勢で、問題点の前提がまったく成り立たなくなる場合もあります。その場合はスパッとその企画を諦めることです。
学生を見ていると、ここでつい現企画にこだわって「③どうなりたいのか・どうしたいのか?」を残したまま、逆算的に問題点を変更しようとしたり、、肯定的な情報を無理矢理探したりしたあげく、余計に整合性がとれなくなって時間を無駄にする場合が少なくありません。

それよりも、その時間を新しい企画を考える方に振り分けた方がはるかに建設的です。

2014年6月19日木曜日

【第61回】問題が正しいかどうかを調査する

前回の続きです。
「その問題が起こっている原因は何か?」という問いかけは、問題が正しいかどうか調査するきっかけにもなります。

例えば、石川企画の『グルメファイター』で、「①何が問題か?」が「父親は子供とのコミュニケーション不足に悩んでいる」というのは、一般のイメージからいくと、なんとなく正しいような気がします。
しかし、そこにデータ的な裏付けがあるかというと、けっこうその人固有の体験や世間のイメージに影響を受けている場合が少なくないのです。

「父親は子供とのコミュニケーション不足に悩んでいる」という問題についていえば
  • 実際にどのくらいコミュニケーションの時間を費やしているのか?
  • その時間は昔と比べて増加しているのか、減少しているのか?
  • 母親と比べてどうなのか?
  • 子供の年齢に応じてどう変わっているか?
  • どのようなコミュニケーションをしているのか?
  • コミュニケーション不足が起きているとしたら原因は何なのか?
あたりの調査が必要そうです。

今はインターネットで以前よりはるかに簡単に調査ができるようになりました。ただ、ネットの情報は玉石混淆で注意が必要です。
行政や大手企業、有名シンクタンクの調査は比較的信用のおけるものが多いですが、設問をきちんと見て「結論ありき」な調査になっていないかは注意する必要があります。
また、できれば同じような調査について、複数のソースを見つけられるとより確実性が高くなります。

逆に引用先が確認できないものは、たとえ役立ちそうであっても避けるべきです。
特に、「~という本にこう書いてありました」「この分野で有名な~さんがこう言っていました」系は、書いている人が自分に都合のよい解釈をしていたり、一部を恣意的に抜き出したりしている場合が多々あるので、本や発言そのものを自分でチェックできない限りソースとしては参考にしてはいけません。

2014年6月16日月曜日

【第60回】あらためて問題点を整理する


さて、企画リサーチシートの2枚目は「ゲームが目指す体験」です。下記から新しいシートをダウンロードしてください。

■企画リサーチシート02(Wordファイル、PDFファイル同梱)

まずは、「①何が問題か?」「③どうなりたいのか・どうしたいのか?」から記入してみましょう。
「①何が問題か?」は1P企画案の「どうしてそう思うのか」を別の視点で言い換えています。
また、「③どうなりたいのか・どうしたいのか?」は1P企画案の「どういうメリットがあるのか」の言い換えです。

言葉と順序を変えるだけで、だいぶイメージが変わるのではないでしょうか。こういった置き換えをするだけでも、同じような内容を多角的な視点で見れるようになります。
実際に記入してみると。1P企画案と表現が変わった人も多いのではないでしょうか。むしろ1P企画案に引っ張られずに、このシートで思いついた言葉を記入してください。

そして、より重要なのが「②その問題が起こっている原因は何か?」です。
何度も言ってきた「企画は問題の解決」であるということは、別の言い方をすれば、「問題の原因を取り除く提案」が企画である訳で、この③の問いかけがあることで、企画の方向が間違っていないかを判断しやすくなるのです。

2014年6月13日金曜日

【お知らせ】更新が原則として月、木の週2回になります

どうも、石川です。
今日の『ゲーム企画塾』本編の更新はなしです。すみません。

いままで、番外編や「ヤナセコラム」などを挟みながらなんとか週3回の更新を維持しようとしてきましたが、本業がいろいろ動いていて、さすがに厳しくなってきました。
そこで、来週から基本的に週2回、月曜日と木曜日の更新に移行したいと思います。

その上で番外編や「ヤナセコラム」などはスポット的に上の曜日以外の日に不定期更新していきたいと思います。
『ゲーム企画塾』を楽しみにしていただいて下さっている方には申し訳ございませんが、ご理解の上、今後ともよろしくお願いいたします。


2014年6月11日水曜日

【第59回】一人でツッコんでみる

さて、前回の簗瀬氏のツッコミとは別に、実は石川も一人ツッコミをやっておりました。どういうことかというと、企画案をまとめるときにふと気になったことや、自分が企画を通す立場だったらどんな点を突っ込むだろうかという視点で気になる点をリストアップしていったのです。
説明がわかりやすいよう、もう一度石川の1P企画案を再掲します。
これに対する石川の「一人ツッコミ」は以下の通り。

  • 今の父親は3DSを持ち歩くか?そもそも3DSを持っているか?(スマホにすると今度は子供がもってないし・・・)
  • 父親がゲームを買い与えるとして、子供は遊びたくなるのか?
  • 料理系ゲームって意外に種類出てないのでは?(ゲーム題材として人気がないのでは?)
  • そもそも「父親が子供とのコミュニケーションに悩んでいる」って本当?
  • すれ違い通信で料理を買う側のメリットは何か
  • すれ違い通信で高価なもの、レアなものの差が出せるのか(一律で売るしかできない場合、高価なもの、レアなもの価値感をどう出すか)
  • 都会以外はすれ違い通信がしにくい問題をどうするか
  • 親子で自動的に通信して料理や売上げを渡す仕組みはできるか(父親が遅くて子供と直接会えなかったとき時など。可能であればそのときに手紙を添えるなど会えないときのコミュニケーション手段になる)


一部は前回の簗瀬氏の指摘とも被っていますね。また、企画というよりゲームシステム寄りな内容も含まれていますが、とりあえず全部掲載しました。

このように、自分の企画を「他人に見せて意見をもらう」&「第三者になったつもりで自分で気になる点をツッコんでみる」という組み合わせは企画初期に問題を洗い出すとても優れた方法です。
自分自身で第三者になったつもりでツッコむのはちょっと慣れがいりますが、ぜひやってみてください。

そして意見くれる人を作るのも、とても大切です。知人友人にも積極的に見せてたくさん意見をもらってほしいのですが、ゲームのことにあまり詳しくない人の意見はさらに貴重です。
プロはよく家族とかに見せて意見を聞いたりします。学生だとおばあちゃんとか(ゲーム関係でない)先生とかの意見を聞くと思わぬ指摘を受けて目から鱗のことがあると思いますよ。

さて、だいぶ回り道になりましたが、石川が1P企画案をもとに書いた企画リサーチシート1がこれです。

そして、このシート1に対する簗瀬氏のツッコミがこれ
  • 協力プレイには「非対称」など、通常の協力プレイではない一言を入れた方が良い
これなんかはすぐに反映できますね。

さて、けっこう沢山の課題を抱えた石川企画『フードファイター』は無事企画書になるのでしょうか?
「実は最後の企画書までもう完成していて、逆算的に原稿を書いてるんじゃない?」
と邪推している人もいるかもしれませんが、正真正銘リアルタイムで書いてます。つまり、現時点では企画リサーチシート1までしか完成していません!

今後、他の企画リサーチシートの説明に合わせて、『フードファイター』の例も書いていこうと思いますが、検証した結果、ひょっとしたら本当に企画としてボツになるかもしれません。そういったライブ感もハラハラしながら楽しんでもらえればと思います(笑)

2014年6月9日月曜日

【第58回】石川の企画案に簗瀬氏がツッコむ!

さて、前回までの説明で企画リサーチシート1「まずは自分の企画を整理しよう!~エレベーターピッチ」の説明は分かりましたでしょうか。読み返しながら企画リサーチシート1もう一度書き直してみましょう。

といっても、やはり実例がないと分かりにくいかもしれないかもしれませんね。
理想は誰か学生さんに書かせていってそれを石川や簗瀬氏がアドバイスしながら直していくというのがいいのでしょうが、連載のペースに学生さんが合わせられるかどうか分からないし、情け容赦ないツッコミに学生さんが途中で逃げ出すかもしれません(笑)

そこで、しかたなく石川が思いついた企画を記入例として公開していくことにしました。しかもアドバイザー簗瀬氏の情け容赦のないツッコミ付きです(^_^;
実際のところ、企画リサーチシートは問題点を1項目ずつ解決するためのものなので、突っ込まれた問題点を受けて企画案がどう変わっていくか、も含め見てもらえればと思います。



で、企画リサーチシート1なのですが、そもそもまず1P企画案シートが先にないといけないので、まずはそれから。第46回第47回でやった「親子で楽しめるゲーム」の切り口で考えてみました。
このシート、実際に「5つのつぶやき」感覚で一気に書いています。つまり、「【第53回】その企画案は整合性と根拠のあるものなのか」で指摘した整合性や根拠については弱い状態のままです。
そして、この1P企画案に対する簗瀬氏のツッコミは以下の通りです。
  • なぜ「飲食店」なのか、理由が欲しい(子供のあこがれる職業ランキングデータや類似するテーマを持ったアニメや漫画のヒットなど)
  • 子供が欲しがる場合、どうやって親の協力を得るか?
  • 親が子供に買って与えた場合、どうやって子供の興味を惹くか?
  • ゲームシステム的には確かに親子で協力する必要があるが、このゲームをプレイする動機として子供の方に強いモチベーションがないと、普通のゲームよりも面倒な分だけ敷居が高い。
  • どのように「親子で協力することがクール、格好良い」とするかが重要
なかなか鋭いです。企画の根源を揺るがすようなツッコミも入っています。(^_^;)
こういった指摘を受けたから「もう自分の企画はダメだ!」とすぐに悲観することはありません。
これから企画リサーチシートを使って、企画の方向が正しいのかどうか、もしくは企画を修正すれば形になるのかといったことをチェックしていきます。
いま1P企画案に問題があったとしても、最後にまた1P企画案に戻ってきて修正すればいいのです。

2014年6月7日土曜日

【第57回】差別性があるから「優れている」?

ぎゃあ、第57回を投稿してなかったことに気づきました!(;´Д`)
ということで、これが第57回です。
・・・誰も指摘ないって、このBlog実は読まれてないのではないかしら?w
しばらくしたら、投稿日を変更して正しい順番に並ぶようにしておきますね。
(2014/06/23 石川)



さて、エレベーターピッチのシートも最後の項目にやってきました。

[⑦⑥に対してこのゲームが優れている点]が備わっている。

競合がいる以上、その競合に対して何か優れている点がなければユーザーは選んでくれません
ここでよく陥りやすい罠が「差別性=優れている点」と勘違いしてしまうことです。

例えば「~と違ってアクション性がある」「~と違ってフィールドが広い」
これらの言葉は「~とは違う」ということを言っているだけで、それが競合に対して優位に立てるかどうかは別問題なのです。

もっと身近に、女の子にもてるかどうかの話に例えてみましょう。
「自分はイケメンのAさんと違って顔も鼻もまん丸です」
と言われたら、たしかにAさんとの違い(差別性)は表現しているけれど、Aさんより優れているようには聞こえないですよね?

でも、例えば
「顔も鼻もまん丸なので、Aさんと違って女の子に安心感を与えることができます」
と言えば、「ああ、その人を選んでくれる女の子もいそうだな」とイメージすることができます。

このように「優れている点」の説明は、競合と何が違うのかだけで終わるのではなく、その違いでなぜ優位に立てるのか、をきちんと理解して書く必要があるのです。

2014年6月6日金曜日

【お勧めサイト・記事】紙の上で「スマホアプリを考えよう!」

『ゲーム企画塾』以外にもゲーム企画に役立つサイトや記事はたくさんあります。
ということで、この【お勧めサイト・記事】シリーズでは、そういったサイトや記事を紹介していきたいと思います!(石川は本編のストックがないので必死だw)

今回はTechWaveに掲載された記事「紙の上で「スマホアプリを考えよう!」 国民総プログラマー化計画 vol.1」です。


紙の上で「スマホアプリを考えよう!」 国民総プログラマー化計画 vol.1【増田 @maskin】 : TechWave

この記事では スマホアプリを作りたいけど、何から始めたらいいか全然わからない人向けに「スマホアプリ企画アイディアシート」というものを紹介しています。
これがホントいい出来なんですよ。どっかの1P企画案シートとか恥ずかしくて引っ込めたいくらいw

「小学校高学年以上なら説明なしでもスラスラ描けるようになっている」と記事に書かれていますが、1つ1つの項目の言葉が分かりやすく、埋めていくだけで子供や素人でも自然とスマホアプリの企画が作れるようになっています。
個人的には「夢とやぼう」欄があるのがいい感じです。

残念ながらダウンロードできるPDFファイルのリンクは切れているようですが、記事に載っている画像でどういう項目かは分かりますので、書き写して挑戦してみてはどうでしょうか。

2014年6月4日水曜日

【第56回】競合する相手はゲームとは限らない

さて、前回の続きです。



[⑤①を受けてこのゲームが解決できること]することができ、

これは「【第50回】どうしてそう思うのか?どんなメリットがあるのか?」で解説した、1p企画案シートの「3.どういうメリットがあるか」の部分になります。

[⑥このゲームが一番競合すると思われる他ゲームや他娯楽]とは違って、

ここらあたりで手が止まってしまった学生さんもけっこういるのではないでしょうか。
この項目は1p企画案シートにないのと、企画をぱっと考えているときには意外と頭に浮かんでない人も多いからです。そして、項目が「他ゲーム」ではなく「他ゲームや他娯楽」になっているのにちょっと引っかかった人がいるかもしれません。

競合する相手の話は「【第10回】ゲーム企画の本質はたった2つ」でチラッと触れているのですが覚えていますでしょうか?

“そしてもう1つ、「差別性」の難しさです。ここでの差別性とはライバルゲームとの差別だけではありません。ありとあらゆる娯楽との差別が要求されます。
例えばペットを飼うゲームの企画を考えた場合、差別すべきは他のペットゲームだけでなく、生のペットそのものも考慮しなければならないのです。”

多くの人は競合相手というとゲームを考えてしまいます。しかしながら、もし他の娯楽がより高い体験感を与えてくれるのなら、ユーザーはわざわざゲームでの体験にこだわる理由はないのです。
ですので、競合相手を考える場合には必ずゲームだけでなくゲーム以外の娯楽も視野に入れることが大切です。
さあ、あなたのゲーム企画の一番の競合相手はイメージできたでしょうか?

2014年6月2日月曜日

【第55回】習ったことを思い出しながらエレベーターピッチを埋めていく

では前回ダウンロードしてもらった企画リサーチシートの1枚目「まずは自分の企画を整理しよう!(エレベーターピッチ)」の各項目について解説したいと思います。

[①現在ユーザーが抱えている不満やニーズ]で問題を抱えている

ここは「【第5回】「よい企画」と「よい企画書」の違い分かりますか?」などでも述べてきた「問題のある現状」です。
「【第52回】「5つのつぶやき」を企画案シートにまとめる」で作成した1p企画案シートだと「2.どうしてそう思うのか」の部分になります。

[②どのような人が①のような不満を抱えているかのユーザー像]向けの、

これは「【第11回】ターゲットユーザーの考え方」「【第12回】ターゲットユーザーを広げすぎない」などで述べてきた対象となるユーザーですね。
1p企画案シートだと「どんな人に向けたゲームか」の部分になります。

[③ゲームのタイトル]というゲームは、

これは問題ないですね。ゲームのタイトルを記入するだけです。
あ、以前お話したようにできるだけ現時点で一番いいと思うタイトルを入れてくださいね。

[④そのゲームの題材やジャンル]である。これは、 

これもそんなに難しくないですね。ただ、単に「猫RPG」みたいに書くよりは、「猫世界冒険RPG」とか、ちょっとだけキャッチコピーっぽい書き方をするとよりわかりやすくなります。

次回に続きます。

2014年5月30日金曜日

【本】10分で決める!シンプル企画書の書き方・つくり方

今回の書籍は「【第48回】企画書の骨組みを「5つのつぶやき」で決める」でも紹介した「10分で決める!シンプル企画書の書き方・つくり方」(藤木俊明 同文館出版)です。

本編でも紹介した通り、この本の優れている点は、企画のポイントを「5つのつぶやき」という形で分析し、企画書を作る初心者や、企画が苦手な人でもポイントを外さずに企画書のフォーマットができる仕組みを紹介している点でしょう。

また、「10分で決める企画書」というコンセプトで、ごちゃごちゃした企画書ではなく、ツボを抑えたシンプルな企画書作りにフォーカスしている点も分かりやすいと思います。

初心者向けの企画書の本はけっこうありますが、心構えとか考え方とか専門用語の説明とかが多い中、ステップバイステップで具体的かつ分かりやすいメソッドまで落とし込んだ本は意外に少ないのが実情です。
その中でもこの本は、初めて企画を考える学生さんにとって理解しやすく実践にも使える1冊ではないかと思います。(学校で企画を学んでない学生さんには特に)

2014年5月29日木曜日

【雑文】アフィリエイトについての説明を追加しました

そういえば、このBlogでのアフィリエイトについて全然説明してなかったのと、Kindleとか紀伊國屋とかのリンクを一元化するために「ヨメレバ」を使うことにして表示が変わったので、一応「このBlogについて」にアフィリエイトの説明を追加しました。
まあ、わざわざ読むほどの内容ではないですが、一応ご報告まで。

2014年5月28日水曜日

【第54回】まずは自分の企画を整理しよう!

さて、今回から「企画案の整合性や根拠をしっかりとしたものにする」方法について話していきます。
そして、またまた記入シートに沿って進めていきます。今回のシートは「企画リサーチシート」といいます。ゲーム企画をしたときに、しっかりとした整合性や根拠を考える為のシートです。

企画リサーチシートは今までのシートと違って数ページにわたっていますが、分かりやすいよう順に1枚ずつ提供して説明していきますので、安心してください。(すべての説明を終えた後でセットになったものも提供しようと思います)

最初はエレベータピッチという考え方でいま自分が考えている企画を整理します。企画リサーチシート01「1.まずは自分の企画を整理しよう!」をダウンロードしてください。

■企画リサーチシート01(Wordファイル、PDFファイル同梱)

エレベーターピッチというのは、「自分の商品やサービスを売り込みたい人に対して、エレベーターで一緒になる30秒程度でも説明できる内容にまとめる」というやり方です。
社長や営業先などとても忙しい相手に対して、限られた時間でどうアピールするかというニーズから生まれた手法で、それゆえにシンプルかつポイントを抑えた内容が要求される訳です。

エレベーターピッチはゼロから考えてもいいのですが慣れないとなかなか過不足なくというのが大変なので、ここではジェフリー・ムーアが『キャズム』という本で紹介しているフォーマットを使います。(ゲーム企画塾用に分かりやすいよう一部手を入れています)

下の説明を見れば、何を書かなければならないかだいたい分かるのではないでしょうか。ではさっそく記入してみましょう。

学生さんだと、おそらくいくつかの欄でどう書いていいか、もしくは何を書いていいか分からず手が止まってしまったのではないかと思います。
この1枚目のシートはまさにそこを理解させるためのシートですから、あまり気にせずに書ける範囲で書いてみてください。

どう書いていいか筆が止まってしまった人や、項目の意味をもう少し細かく説明して欲しい人向けに、次回以降で項目毎に記入内容について解説します。

2014年5月26日月曜日

【第53回】その企画案は整合性と根拠のあるものなのか

前回、1ページ企画案シートを記入して企画案を作成し、しかし最後に「この企画案には根本的な問題がある」と書きました。

「根本的な問題」とは何でしょうか。
それは、「この企画案が整合性や根拠のあるものかどうかをまったく検証していない」ということです。
第48回、第49回で考えた「5つのつぶやき」。これは思いついたものをつぶやくだけで企画の骨格になる優れたシステムです。
しかしながら、「おもいつき」にありがちな、自分の主観で考えすぎたり根拠が弱い、また整合性の検証不足、競合のリサーチ不足といった問題も発生しがちなのです。

そして、これらの部分は学生さんが企画書を作る際において、もっとも苦手なところです。
ゲーム専門学校のプランナー学科などでも、「ゲームのアイデアを考えること」と「企画書の見た目を整えること」はけっこう教えていますが、この「企画案の整合性や根拠をしっかりとしたものにする」は十分に教えられていない気がします。(「ウチはちゃんとやってるぞ!」という学校さんがあったらごめんなさい)

逆に言えば、ここをしっかりとしたものにすることで、あなたの企画書は他の学生よりワンランク上のものに仕上がるのです。
そこで次回からは「企画案の整合性や根拠をしっかりとしたものにする」ための具体的な方法について話していきましょう。

2014年5月23日金曜日

【第52回】「5つのつぶやき」を企画案シートにまとめる

さて、前回書いた「5つのつぶやき」を、今回は「1ページ企画案シート」というフォーマットに記入し、さらに肉付けしていきましょう。下からシートをダウンロードしてください。

■1ページ企画案シート(MS Word版とPDF版同梱)


まずは、「5つのつぶやき」の番号を書いている枠(実線で書かれている枠で番号が振られているもの)にそのまま書き写します。

その上で点線の枠を埋めていきます。
「タイトル」「ジャンル」「題材」「プラットフォーム」「提案者」「日付」はそれほど難しくないですね。
あ、「タイトル」は「RPGゲーム企画」とか「勇者クエスト(仮)」とかせずに、ちゃんと今自分が一番しっくりくるタイトルを決めましょう。
きちんとタイトルを決めるというのは意外にそのゲームの本質を考えるきっかけになります。

「具体的なゲーム内容」は「1.提案したいことを一言で述べると」を受けて、具体的にどんなゲームにするかという内容を書く部分です。
自分の考えているゲーム内容で、他のゲームや娯楽にない特長を3つ書いてみましょう。

「どんな人に向けたゲームか」はこのゲームのターゲットユーザーです。
どんな人にこのゲームを遊んでほしいか書きましょう。
ターゲットユーザーの話は「【第11回】ターゲットユーザーの考え方」「【第12回】ターゲットユーザーを広げすぎない」でもしましたので思い出してくださいね。

さて、記入が終わりましたでしょうか。見た目はともかく、なんか企画書っぽくなっていると思いませんか?
実際のところ、項目だけならこのシートはりっぱな企画書のフォーマットになっており、見た目を整えたり内容を膨らませるだけでちゃんと提出できる企画書に仕上げることができます。
しかし、この企画案には根本的な問題があるのです。
次回はその話をしたいと思います。

2014年5月21日水曜日

【第51回】予算と期日も考えてみよう

引き続き「5つのつぶやき」について具体的に解説していきます。

4.その「提案したいこと」にはどのくらいの予算がかかるか、をひとことで述べると?

『ゲーム企画塾』は学生の就職活動用企画書を作ることをイメージして話しているので、一見この項目は必要なさそうな気がします。
しかし、最終的に提出する企画書にこの項目がなくても、ここでは一度考えてほしいと思います。
というのは、「【第8回】学生にとっての「よい企画書」とは?」で述べたように、実現性を考える上で予算をイメージすることは無駄にはならないからです。

予算をイメージするのに比較的簡単な方法があります。
まず、1人が1ヵ月仕事をするコストを70万円とします。
70万円というのは、だいたいゲーム業界で1人1ヶ月の作業コストが50~100万と見なされることが多いのでその間を取っての値です。
(ちなみに「作業コスト=給料」ではありません。なぜそうなのかは『ゲーム企画塾』の本題から外れるので説明しませんが、気になる方はぜひ自分で調べてみてください)

次に、このゲームに必要な職種と期間をイメージして、その期間に70万円を掛ければ大枠の概算費用は出てきます。
例えばプランナー1人、シナリオ1人、プログラマー2人、グラフィック2人がずっと必要で、作るのに8ヵ月くらい掛かりそう。
サウンドも必要だが、期間は1ヶ月だけだとすると

サウンド以外 6人×8ヵ月×70万円=3,360万
サウンド   1人×1ヵ月×70万円=70万
計 3,430万

実際には、正確なスタッフ数と開発期間を想定するのはある程度経験が必要ですし、予算ももっとこまごまと発生しますが、まったくイメージしないよりははるかにマシです。
どうしても期間やスタッフ数がイメージできない場合には、同じくらいの規模のゲームを引き合いに出してみるのも有りです。(そのゲームの開発予算を調べて分かるとよりベター)
「○○と同じくらいのゲーム規模になると思われるので予算も同程度を考えている」

5.その「提案したいこと」はどれぐらいの期日でできるのか、をひとことで述べると?

4で期間ベースで予算を検討したので、自動的に期日もも決まります。
もし同程度のゲームを引き合いにしている場合は、5もそれに準じます。

さて、これで5つのつぶやきが完成しました!
次回はこのつぶやきを書類にまとめていきます。

2014年5月19日月曜日

【第50回】どうしてそう思うのか?どんなメリットがあるのか?

前回からの続きです。

2.どうしてそう思うのか、をひとことで述べると?

この項目は「企画の背景」になります。
なぜそのゲームが受け入れられたり売れたりすると思うのかということを一言で述べていきます。

前回例に出した猫RPGだったら
「猫好きな人は多く、猫の生態に興味を持っているから」
親子で協力する商売ゲームだったら、
「忙しい父親が限られた時間で子供とコミュニケーションが取れる手段を求めているから」
といったところでしょうか。

3.そうしたらどんなメリットがあるのか、をひとことで述べると?

この部分はその企画を実施した場合のメリットです。
メリットについては、「【第7回】問題解決の相手は誰?」で述べたように、対ユーザーと対売り込み先で変わって来ます。
ただ、多くの場合ゲームにおける【売り込み先のメリット】は売上げなので、学生の企画書を考えるレベルでは、ユーザーのメリットが売上げに繋がりそうであれば、無理に書く必要はないでしょう。あえて書くなら下のカッコ内のような書き方でしょうか。
「現実世界をベースにしながら猫の視点でのRPGで、見慣れた日常を違った視点で冒険する楽しさ(を提供し、猫好きのゲーマーにアピールする)」
「ファミコン世代の父親が、子供と協力するゲームでコミュニケーションと尊敬を勝ち取れる(ゲームを提供することで、親が買い与えやすい上に、親子で2本の売上げを期待できる)」

もし、【売り込み先のメリット】が、「一定期間までに発売して売上げを上げなければならない」「小ヒットでいいので、確実に利益がほしい」「ゲーム本体の売上げよりもキャラクターのアピールをしたい」といった、より踏み込んだ内容の場合はそれらを考慮する必要があります。
その場合は、ユーザーのメリットと売り込み先のメリットを分けて書いてかまいません。

2014年5月16日金曜日

【ヤナセコラム】学業をゲーム開発に活かす

私の周辺のアカデミックの世界ではよくDemo or Dieという言葉が使われます。
論文はもちろん重要だが、どれだけの実験データや論証よりも、デモをしてすぐに伝わる事が重要、というニュアンスの言葉です。
これは非常に重要な精神で、例えば就職活動などにおいても、どれほど自分が努力して来たか、情熱があるか、夢があるかという事を語るより自分で作ったデモを見せる方がずっと伝わるものがあります。

このデモというのはゲームには限りません。むしろ大学生、院生の場合は大学の研究成果の中でゲーム開発に活きそうなものを見せられると非常に強いです。学部生は自分の専門に学校でいちばん詳しく、院生は日本でいちばん詳しく、博士課程になると世界でいちばん詳しいなどと言われます。研究には新規性と有用性が非常に重要ですが、それがゲームにとって役に立つと納得してもらえれば、他に換えの効かない唯一無二の人材として迎えてもらえるでしょう。

とは言え、情報科学系でもなければなかなかストレートにゲームに活かせる研究成果というのは出せないかも知れません。その場合、武器となるのは自分の専門性を獲得する過程で身に付けた物の見方です。

例えばVRを勉強すると、同時に人間の認知や感覚の仕組みを学ぶ事になります。日々自分の見聞きした世界を、センサーの塊としての自分を軸に認識する事で、新しい刺激の与え方、新しい感じ方を発見出来るかも知れません。
同様に生物学を専門とすれば、マクロな生態系を軸とした見方をしていたり、逆にミクロな視点を持っていたりするかも知れません。
法学を学んだならば、ルールというものがどのように生まれ、どう人に作用するのか敏感になるでしょう。

学んだ専門によって、世の中や現実の現象をどうモデル化するか、という軸が変わり、そこにそれぞれの個性が出て来るわけです。

よくゲーム開発を職業としたい大学生に、専門学生やゲーム系の学科の学生と比べて不利ではないのかと聞かれる事があるのですが、制作経験やゲームとしての成果物を軸とするならば不利である事は否定できません。しかし、専門性という軸でみるなら、現場の誰も持っていない知見を持っていると考える事も出来ます。
例えばマクロ生物学を学んだ学生は、大きな視点で自然界を捉え、それをモデル化する事が可能です。それをシミュレーションゲームやパズルゲームなどに応用すれば、これまでになかったゲームが生まれるかも知れません。
また、シリアスゲームなどの場合単にゲームが作れるだけでは面白くても十分に効果のあるものを作る事は出来ません。例えば児童心理学やカウンセリングの知見を活かし、子供に学びを与えるコンテンツなどを設計しようと思ったら専門性は必要です。

ゲーム開発会社のスタッフは、ゲーム作りについてはプロです。学校でどんなにゲーム作りについて勉強しても、なかなか彼らを感心させるほどの事をするのが難しいでしょう。しかし、大学で学んだ専門に関しては学生の方がずっとプロフェッショナルである可能性が高いのです。そうした知見で作られたものは、ゲームとしては今一つでも「なるほど!」と言わせることが出来ます。そこからゲームを面白くする事は、プロなら出来ますが、まったく未知の知見を使ったゲームはなかなか出て来ないのです。
非ゲームの世界からゲーム会社を目指そう、という方はそこをスタート地点として意識すると良いでしょう。

特に様々なツールやゲームエンジンなどが充実してきている昨今、それらを使いこなす事が重要であると同時に、それ以外の部分で差がつくようになってきました。
新たなエンターテインメントを確立するのは、ゲーム以外のところからやってきた知見かも知れません。

2014年5月14日水曜日

【第49回】提案したいことをひとことで述べると?

さて、前回紹介した5つのつぶやきについて具体的に考えていきましょう。

1.提案したいことをひとことで述べると?

これは「一言でいえばこんなゲーム企画です」という「企画の骨子」です。

ここで重要なのは、プレイヤーに体験させたいイメージをしっかり入れておくことです。ゲーム企画の骨子というと、つい
「猫の世界で地域のボスを目指す猫RPG」
「子供が作った商品を父親がすれ違い通信で売って回る商売ゲーム」
などゲームの内容だけで終わりがちですが、その内容でどんな体験をさせたいのかまで踏み込んで書くことが大切です。

そこで、この一言を2つに分けると企画として考えやすくなります。

【こんなゲームを】を作り、【プレイヤーの体験】させること」

【こんなゲームを】はゲームの内容、【プレイヤーの体験】はそのゲームで感じてほしいユーザーの体験を書くわけです。
先ほどの例でいえば、
「猫の世界で地域のボスを目指す猫RPGを作り、誰もが知らない猫の視点を体験してもらう」
「子供が作った商品を父親がすれ違い通信で売って回る商売ゲームを作り、親子の協力で商売を上手く回しているタッグ感を感じさせる」
このように【プレイヤーの体験】を明確にしておくとゲームが目指すもののポイントがはっきりとしてきます。

2014年5月12日月曜日

【第48回】企画書の骨組みを「5つのつぶやき」で決める

さて、前回までの作業によって、この段階で「新しい題材のRPG」「親子で楽しめるゲーム」それぞれで1つずつの自慢のアイデアが上がっているはずです。
では、いよいよ企画書にまとめていく作業に入っていきましょう。

といっても、最初から本格的な企画書を作ろうとすると大変です。まずはシンプルな1ページの企画書を考えましょう。
私が学生さんに1ページの企画書を作る際にお勧めするのが『10分で決める!シンプル企画書の書き方・つくり方』(藤木俊明 同文館出版)という本に書かれている「5つのつぶやきから企画書の骨組みを作る」手法です。
この手法は企画書の書き方に慣れていない人でもポイントを外さないので、例えばゲーム関係の学校とかに行ってなくて、一度も企画書を書いたことのない人でも簡単に企画書の骨組みを作ることができます。
(この本はいずれ番外コラムでも紹介します)

では、具体的に「5つのつぶやき」を紹介しましょう。

1.提案したいことをひとことで述べると?
2.どうしてどう思うのか、をひとことで述べると?
3.そうしたらどんなメリットがあるのか、をひとことで述べると?
4.その「提案したいこと」にはどのくらいの予算がかかるか、をひとことで述べると?
5.その「提案したいこと」はどれぐらいの期日でできるのか、をひとことで述べると?

本はこれらのつぶやきを1つ70文字以内(twitter1回分のさらに半分!)で書くことを推奨しています。シンプルですよね?
でもこれだけで本当に企画書の骨組みはできてしまいます。

では、次回はこの「5つのつぶやき」を説明しながら、具体的に企画書の骨組みを考えましょう。

2014年5月9日金曜日

【補講】「福島GameJam」のパズルゲームと題材


ちょっと前の話になりますが、今年2014年2月8,9日に国立新美術館で第17回文化庁メディア芸術祭関連イベントとして「福島GameJam in 文化庁メディア芸術祭」が開催されました。
このときに製作されたパズルゲームが今まで話した題材論に近いものでしたので、今回の補講ではそれを話題にしたいと思います。
そのゲームとはアクションパズルの「Catch the 47」
基本的なシステムは、中心となるピースを動かし、飛んでくるピースとかみ合う部分に接触させキャッチしながら、どんどんピースの塊を大きくしていくゲームです。

以前話したようにパズルゲームはそもそも題材が設定しにくく、題材論的には不利なジャンルです。
しかし、「Catch the 47」は、それを
「福島県のピースをコアにして、飛んでくる他の都道府県ピースをキャッチして日本地図を完成させていく」
という「福島GameJam」のテーマに沿ったわかりやすいイメージに落とし込むことで、「一言で説明しやすい」パズルゲームに仕上げているのです。

この題材選択のうまさは「福島ゲームジャム in 文化庁メディア芸術祭」を取り上げた小野憲史氏の記事の中でも

“一方、同じくオブザーバとして参加し、「パックマン」の生みの親として有名な岩谷徹氏は、かつて作ったアーケードゲームの「フォゾン」を思い出したとコメントしました。幾何学的なパーツを組み合わせて、分子構造のような構造体を作るアクションゲームでしたが、題材が地味だったこともあり、「幻の名作」という扱いに・・・。「日本地図のように、もっとわかりやすい題材にすれば良かった」という岩谷氏のコメントは、最大限の賞賛だったと言えるでしょう。”

と紹介されています。

前も言ったように、パズルゲームはアイデアの核1つでゲームを設計しやすく、かつプログラムの手間も比較的かからないため、紙の上だけでなく実際に動くものを作りたい人にとっては挑戦しやすいジャンルです。
だからこそ、そのアイデアを伝えやすくする題材との組み合わせをしっかりと考えたいものです。

2014年5月7日水曜日

【第47回】親子向けの題材を決める

さて、第41回の「題材発想シート」にある「与えられた題材・ジャンル・テーマ」の欄に「親子でも楽しめるゲーム」と書いて、以前お話した流れに沿って題材を考えていきましょう。

①親子向けにおもしろそうな題材を100考える
②「理論編」で学んだことを元に題材として優れていそうなものを10個選ぶ
③10個の題材の魅力は何かをそれぞれ考え、魅力が活かせるおもしろそうなゲームシステムがイメージできるものを3つ選ぶ

ここまではRPGの時と基本的に同じです。

④その魅力やゲームシステムは親にとっても子供にとっても楽しいものかを考える
ここで③で抽出した魅力やゲームシステムと親子との親和性を考えます。
今回はRPGのようなゲームシステム的な縛りはないので、魅力に問題がなければゲームシステムを再考しても問題ありません。
逆に魅力が親と子どちらか一方であっても響かないと感じるようだったら、③に戻って次点の案をピックアップします。

⑤④を受けて、3つの中で一番自分がおもしろそうと思える題材を1つ選ぶ

はい、これで以前のRPGと合わせて、2つの企画向け題材がピックアップされました。
次回からは、いよいよこれを企画としてまとめていく作業に入ります。

2014年4月28日月曜日

【第46回】親子向けの題材を考えるメリット

前回は「RPG」というジャンル(ゲームシステム)が先にあって題材を決めました。
今回はちょっと方向を変えて、今回はターゲットユーザーを先に決めて題材を考えてみましょう。
お題は「親子で一緒に楽しめるゲーム」です。

このターゲットユーザーは石川が学生に教えるときに毎回のように出すお題です。なぜなら既存のゲームの枠に凝り固まっている頭をほぐすのに最適だからです。

  • 「親子で楽しめる」ゲームがほとんどないため、安易に既存ゲームを変形させるのではなく、1から考えなければならない。
  • 親と子という、まったく違った世代がどちらも楽しめるようにするにはどうすればいいかを考えなければならない
  • 多くの学生にとっては「親」でも「子(小さな子供)」でもないので、自分とは違う視点で考えなければならない

今回のターゲットユーザーは「親子」ですが、学生のみなさんは企画を考えるときに、ぜひ自分とは違う立場のターゲットユーザーをいろいろ選んでみてください。

  • OL向け
  • 定年退職した男性向け
  • 子育てをしている主婦向け
  • 小学生の女の子向け
  • スマホは持っているが一度もゲームをしたことのない社会人向けetc.

そういった人たちに向けてゲームを考えると、いい訓練になりますよ。


【お知らせ】
今年1月のBlog開始以来、ずっと週3回の更新を守ってきましたが、さすがに原稿のストックがなくなってきました。そのため、申し訳ないですが、ゴールデンウィーク期間は執筆に専念したいと思います。
次回更新予定は5/7(水)となります。ますますパワーアップする『ゲーム企画塾』にご期待ください!(タイトルにZとかRとかは付きませんがw)

2014年4月25日金曜日

【第45回】RPGとは何かを考えてみよう

ところで、前回は「その題材が向いているのは本当にRPGか?」を考えた訳ですが、そもそも皆さんの中でRPGと他のジャンルとの明確な区別はできているでしょうか?
「そんなの改めて考えるまでもないよ」とか言わずに、まずはあなたのRPGの定義(他のジャンルとは違うところ)を書き留めてみてください。

書き留めましたか?では、ちょっと考えてみましょう。
RPGというのはジャンル的な分類です。そして、以前お話したようにジャンルというのは一般的に認知されているシステムの集合体、そのラベルでしかないのです。
逆に言えばRPGという定義は、複数の特徴的なシステムを列挙すればいいということになります。さて、あなたの定義を見返してみてください。
「複数の」特徴的なシステムの列挙になっているでしょうか。

例えば、多くの人がRPG的と考える「経験値で成長するシステム」。
しかし、これを単体のシステムとして考えると、多くのジャンルで経験値のシステムが取り入れられていることに気づきます。むしろ、経験値のシステムが一度も取り入れられたことのないゲームジャンルを探す方が現在では困難なくらいです。

逆に海外のRPGでは、ぱっと見にはアクションゲームやTPS(三人称視点シューティングゲーム)にしか見えないものも多くあります。
しかし、いくつかの要素によって、これらのゲームはRPGに分類されている訳です。

RPGの定義に絶対の正解はありません。さきほど例に上げた経験値すら存在していないRPGも現実にあります。
しかし、今まで多くの人がRPGを定義してきていますので、そういったものを参考にしてあなたにとっての定義をしっかりと考えてください。

たとえば、『ゲーム企画塾』のアドバイザーであり、コラムも書いてもらっている簗瀬洋平さんは、Biowareのクリエイターの発言を元に、RPGを

  • 物語
  • 成長
  • 頭を使う要素

の3つの組み合わせではないかと分析しています。
この3つの要素それぞれを体験させてくれるシステムが集まっているのがRPGという訳です。

さて、あなたの中でRPGは再定義できたでしょうか。
場合によっては第44回に戻って再度「その題材が向いているのは本当にRPGか?」を考えてみてください。

2014年4月23日水曜日

【第44回】その題材に一番向いているのは本当にRPGか?

前回の続きになります。

③10個の題材の魅力は何かをそれぞれ考え、魅力が活かせる面白そうなシステムがイメージできるものを3つ選ぶ

前回、10個の題材についてその魅力を考える作業を行いました。
それらの魅力からおもしろそうなシステムがイメージできる題材を3つに絞り込みます。
ここではまだRPGはイメージしないように!
前回の魅力抽出と同じように、その題材にとって一番いいと思えるゲームのシステムやジャンルを選択します。

④そのシステムはRPGか。もしそれがRPGでない場合、RPGでしかできない切り口はあるか?

ここで初めてRPGとして成り立つかどうかを考えてみます。その題材にとって一番いいと思えるシステムはRPGでしょうか。もしRPGでない場合、題材の魅力を活かすRPGとしての切り口はないでしょうか。
もともと、RPG用として題材を洗い出しているので、3つのすべてがRPGに向かないということはあまりないとは思うのですが、もし3つともRPG向きでないと判断した場合は③に戻って次点の題材を3つ選び直して④を再実行します。

⑤④を受けて、3つの中で一番自分がおもしろそうと思える題材を1つ選ぶ

おつかれさまでした。ようやくRPG用の題材を1つ決めることができました!
第41回から4回に渡って題材を絞っていく作業を行いましたが、この方法は題材を絞るための基本となるサイクルです。ぜひいろいろテーマを変えてやってみてください。


2014年4月21日月曜日

【第43回】題材の魅力を考え、それからシステムをイメージする

RPG向けに100の題材を考えて絞り込む作業の3回目です。

③10個の題材の魅力は何かをそれぞれ考え、魅力が活かせる面白そうなゲームシステムがイメージできるものを3つ選ぶ。

この話は第39回「題材とシステムの親和性」でやりましたね。
今回はまずRPGというシステムを一度忘れ、「題材の魅力」を先に考え、そののちにそれが「ゲームシステム」とうまく繋がるかを考えていきます。

例えば「猫RPG」というのを思いついたときに、RPGというのは一度頭から消して猫の魅力を考えてみる。

  • すましているのにときどきオバカをやる
  • 仕草が可愛い
  • 室内でも飼える
  • 何を考えているか分からない
  • 自由気ままに生きている感じがする etc.

ぱっと見た目にはRPGらしい切り口がなさそうです。しかし、それが大切なのです。
最初から「猫RPG」で考えてしまうと、どうしてもRPGっぽい切り口を先に考えてしまって、猫という題材の魅力を殺してしまうからです。

これは版権タイトルモノでも起きがちな問題です。
特にスケジュールや予算が限られている場合、手持ちのゲームシステムを流用しようとして、そこに無理矢理版権タイトルを当てはめてしまい、そのタイトルの魅力を殺してしまうことも出てくるのです。

「【第39回】題材とシステムの親和性」でも話したように、題材先行の場合はゲームシステムはその題材の楽しさを最大限に引き出すよう設計しなければなりません。
まずは題材の魅力、楽しさとは何かを考え、そののちゲームシステムを当てはめるようにしていきましょう。

2014年4月18日金曜日

【本】∞アイデアのつくり方

え~、本編の執筆速度カバー企画第2弾(笑)として書籍の紹介もときどきやろうと思います。
今回は「∞アイデアのつくり方」(高橋晋平・イースト・プレス)です。


Kindle版


書籍版

 著者はバンダイで「∞プチプチ」とかを商品化した方のようです。
第41回で題材を100個出させましたが、具体的なアイデアの出し方にはあまり触れませんでした。
この本は「、最高のアイデア発想法は、最も楽して効率よく、大量のアイデアを出し、そこからいいアイデアを拾う方法である」という発想のもと、楽してアイデアを出す方法として『アイデアしりとり』というのを提唱しています。

基本は考えたいテーマに対してしりとりで次々に出てくる言葉から連想されるアイデアを考える方法ですが、それ以外の方法や、一度絞り込んだアイデアからさらに広げる方法などが、アイデアを大量に出し絞っていく手順についてわかりやすく書かれています。

ちょっとおもしろいのは、アイデア発想のオーソドックスな手法である『オズボーンのチェックリスト』を
「オズボーンのチエックリストでは、発想の方向性が限定されすぎてしまい、一つ一つ、どう発想をアレンジするかを考えるのに立ち止まってしまいます。こうなるとスピードが落ちて効率も悪くなりますし、頭も疲れやすくなります」
と言い切っているところですね。
「アイデアを散らかすためには、自分の考え方の癖や思考の枠からはみ出すことが必要です。そのためには、自分に考える暇を与えないスピードが必要になります。そのスピードを与えるために、ルールがないに等しい「しりとり」という方法を使うのが最適なのです」
というのが著者の主張です。

実際に『オズボーンのチェックリスト』で効率が悪くなるかどうかはさておき、この本の手法は非常に具体的でかつ実践しやすいものなので、あるテーマで大量にアイデアを出したいときなどは、私もよく使わせてもらっています。
Kindle版はかなりお安いですし(2014/04/18現在\580)、アイデア発想法の1つとして読んでみるのもいいのではないでしょうか。

2014年4月16日水曜日

【第42回】題材論を思い出して絞り込む

RPG向けに100の題材を考えて絞り込む作業の2回目です。

②その中で題材として優れていそうなものを10個選ぶ。

「理論編」でやってきた題材論に沿って、よさそうな題材を選んでいきます。
100個の中から10個に絞ってみましょう。


よさそうな題材を選ぶ方法は何回か理論編でやりましたね?

  • 競合の少ないBの領域のものはないか?(第25回第29回
  • Cの領域で手堅く狙えるものはないか?(第25回第29回
  • EからDにシフトできるものはないか?(第32回第33回
  • AからBにシフトできるものはないか?(第34回

また、題材で注意するべきポイントも抑えておきます


さて、これで10個に候補が絞られました。次回でさらに絞っていきます。

2014年4月14日月曜日

【第41回】RPG向けの題材を100本考えよう

今回から「題材からの企画・実践編」として、いよいよ実際に企画書を完成させるまでをステップ・バイ・ステップで進めていきたいと思います。

以前から話しているように、とりあえず題材を決めて企画書を作るという前提で話を進めてきましたので、まずは題材を決めなければいけません。
だからといって、いきなり有利な題材を考えろといっても、なかなか思いつかないと思います。
そこで、今回はルールを決めて題材を考えたいと思います。

今回のルールは「RPGと組み合わせたらおもしろそうな題材を考える」です。ファンタジーやSFといったありきたりな題材ではなく、頭を一度からっぽにして題材を考えていきます。
そのために今回は記入シートも用意しました。Word形式とpdf形式の2つを用意しましたので、ダウンロードして使いやすい方で使ってください。(今回はそんなたいしたシートではないので、ノートとか
でも問題はないですw)



題材発想シートをダウンロード(zipファイル)


何回かにわたってそのステップを説明していきます。まずは…

①RPGと組み合わせたらおもしろそうな題材を100考える

ここでは題材の有利不利とかを考えないで、とにかく思いついたものをどんどん上げていきます。
100個は大変なように思えるかもしれませんが、とにかく自分で評価のフィルタをかけずに、思いついたものをどんどん書いっていくと案外書けるものです。

どうしても100個題材を出せずに詰まる人は、新聞とか総合雑誌といった、いろいろなタイプの記事が載っているものを読みながらアイデアを拾ってみて、とにかく100個ピックアップしてみてください。
慣れてきたら30分もかからずに100個の題材を書くことができるようになります。

2014年4月11日金曜日

【補講】敵を知り己を知れば…

今回からときどき、本編に関連した補足や質問の答え、関連した時事ネタ等をときどき「補講」という形で取り上げていきたいと思います。今回はその1回目です。

この『ゲーム企画塾』を読んでいる方から
「自分が作りたくても、不利な題材は企画しない方がいいのでしょうか?」
という質問を頂きました。

結論からいうと「題材として弱いから作るな」ということではありません。
自分の企画が題材としてどのくらい弱いかを正確に把握することで、その不利を他のどこで補うかをきちんと考え、全体としては企画を成功に導く。
そのために、題材という初動にとってとても大きな要素をきちんと理解しておくことが必要なのです。
まさに孫子の兵法でいうところの「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。

ただ、本編でも何度か話したように、いくらゲームシステムをおもしろくしたからといって、それで題材の不利をひっくり返せる局面はほとんどありません。
題材が不利であるならば、別の所から「おもしろそう」なイメージを与えるためのアイデアを真剣に考え、提案することが大切です。

不利な題材と分かっていても、どうしてもそのゲームを作りたい情熱があるのなら、その情熱の一部を「題材に変わるおもしろさ」を真剣に考え提案する方に振り分け、ぜひあなたの企画を成功に導いてください。

2014年4月9日水曜日

【第40回】題材からの企画・理論編のまとめ

今回で第2章「題材からの企画・理論編」は終わりです。
第2章の内容をおさらいしてみましょう。

■題材を最初に決めるメリットは多い



■題材とジャンルとテーマを混同しないように



■有利な題材とは何か?



■学生の企画には多いけれども売りにくい題材



■限られた中で有利な題材を生み出す方法



■一見有利な題材で注意すべき点




さて、次回は1回番外編を挟んで、そのあといよいよ第3章「題材からの企画・実践編」に入っていきたいと思います。

その前に1つお詫びなのです。『ゲーム企画塾』は2014年1月の開始以来、ずっと週3回の更新を守ってきましたが、さすがにちょっと執筆が追いつかなくなってきました。
今後もコラムや番外編など含め週3回の更新は目指したいと思いますが、本編の更新については週1~2回程度となりそうです。本Blogを応援してくださっている方には申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

では、来週からの第3章「題材からの企画・実践編」をお楽しみに!

2014年4月7日月曜日

【第39回】題材とシステムの親和性

「題材からの企画・理論編」では、ユーザーは「題材」そのものから与えてくれる楽しさを予想することができる、だからこそいい題材には利点があるのだという話をずっとしました。
逆に言うと、題材を先に決める場合、ゲームシステムはその題材の楽しさを最大限に引き出すよう設計しなければなりません。

題材がゲーム体験の期待である以上、題材からイメージされる体験を裏切るゲームシステムは逆効果です。
有名版権モノを安易にパズル化したゲームなどは、この悪い代表例でしょう。
作り手側からすれば、すでにあるパズルシステムに有名版権を被せるだけですから簡単にタイトルを投入しやすいのでしょうが、遊ぶ側からすれば「なぜパズル?」ということになり、結果題材のメリットをまったく活かせない形となります。

そのためには、まず題材に一番合うシステムが何かを冷静に見極める必要があります。
「プレイヤーが何を体験したいか、問題解決したいか」という視点で題材を考え、その問題解決に適したシステムを選ぶことです。

例えば、ジャンプの対決マンガなら「主人公のように相手をぶっとばしたい」対戦格闘が向いているでしょうし、戦争モノなら「戦闘指揮官になって特定の陣営を勝たせたい」ストラテジーの親和性が高いでしょう。

その題材を表現するのに一番いいシステムではなく、自分が好きなジャンルや、自分がやりたいだけのシステムになっていないか、しっかり見極めてください。

※次回更新は2014/04/09(水)の予定です!

2014年4月4日金曜日

【第38回】題材と製作コスト問題

以前、ファンタジーは題材論的には売れない題材であるという話をしました。しかしながら、制作という視点から見ると別の問題が浮き上がってきます。
それは、現実に近いほどユーザーがディテールまで想像しやすいという問題です。
そのため、特に実写的な表現のゲームでは、相当なところまで画面を作り込まなければならず、その調査コスト、再現コストが膨大になってしまうことがあるのです。

以前、学生から「世界の主な観光地を3D画面で楽しめるリアルな旅行ゲーム」という企画が出てきたことがありますが、これなど、もし実現しようとしたらどのくらいのお金がかかるでしょうか?

それに対してファンタジー世界であれば、極端な話どのように描くかは作り手の自由です。
一時期、スマホのゲームでやたらカード型のファンタジーゲームが多かったのも、ファンタジーならカードのキャラクターを複数で描くときに、全体的な統一感をあまり考えないで発注できる(=世界観の統一にコストをかけなくて済む)という利点もあるのです。

ちなみに、日本においてスマホゲームのファンタジー設定がかなり適当でも許されるのは

  • 西洋ファンタジーを文化として持っていない
  • スマホゲームでまだそこまで世界観を必要としていない
  • ライトノベルなどで軽いファンタジー設定のものが多い

といった背景があるからではないかと思います。
今後、海外での展開が前提の企画となると、今のような製作都合で安易にファンタジーを選択するのは難しくなっていくのではないでしょうか。

話を戻すと製作コストによる題材選択の問題は、学生さんが書く企画書では制作まで考慮する訳ではありませんので、さほど気にする必要はありません。
ただ上記で例示した観光ゲームのように、誰の目にも製作コストとのバランスが大きく欠けているものは、やはり問題視されますので、注意してください。

※次回更新は2014/04/07(月)の予定です!

2014年4月2日水曜日

【第37回】ミステリーゲームの落とし穴

前回の問題解決したくなる題材の話に関連して、今回はミステリーという題材について話をしたいと思います。

ミステリー小説は小説のジャンルの中でも人気の高い分野です。売れている小説のランキングを見れば、かなりのタイトルをミステリーが占めています。
しかしながら、それらをゲームにしようとするときには注意が必要です。
それは、多くのミステリーゲームで行われている「プレイヤー=探偵役」というフォーマットが、はたしてミステリー小説のような楽しさを生むのか、という問題点なのです。

探偵ミステリー小説の代表であるシャーロック・ホームズを例にとりましょう。
ホームズはすばらしい推理力で次々と難事件を解決します。だとすれば、プレイヤーがホームズになりかわって問題解決したくあるような気もします。
でも、小説を読んでいるとき、みなさんはホームズの立場になって、真剣に謎を解き明かすことがメインの楽しみなのでしょうか。

もちろんそういう人もいると思いますが、実は
「自分がホームズになって謎を解き明かしたい」
のではなく、
「自分が思いもよらなかった視点で謎を解き明かすホームズの推理を聞きたい」
という人も多いのではないでしょうか。
多くの読者が求めているのは、謎を考えることではなく、あざやかな謎解きを聞いて驚いたり納得したりするということ。つまり、こういった読者の位置は実はホームズではなくワトソンに近いということになります。

となると、もしゲームでのプレイヤーの位置をホームズに置くとやっかいなことになります。
「自分が思いもよらなかった視点で謎を解き明かすホームズの推理を聞きたい」
ということは、ゲーム内では謎の意外性が優れていればいるほど「自分が思いもよらない」ので謎が解けないというジレンマに陥るのです。

小説の中ではあんなに颯爽としている名探偵が、自分がプレイするとたんに証拠も見つからず、ひらめきも起きず、あっちをウロウロ、こっちをウロウロ・・・
これでは探偵ミステリーに求めている爽快さなど期待できません。
(逆に言うと、成功しているミステリーゲームは多くの場合、何らかの形で上記の問題を突破しようというアプローチが感じられます)

以上のように、小説というフォーマットでは成功する題材でも、そのままゲームに持ち込もうとすると問題が起きることがあるのです。
人気のあるミステリー小説だからといって、「プレイヤー=探偵」と安易に考えず、プレイヤーが参加したくなるポイントをどこに置いて、そのシステムをどうすれば爽快感が損なわれないかを見極めた上で作らないと、ゲームとしては失敗してしまうのだということをよく理解しておいてください。

※次回更新は2014/04/04(金)の予定です!

2014年3月31日月曜日

【第36回】問題解決したくなる題材かどうか

題材で注意すべき点の2回目です。
ゲームというのはインタラクティブ性の強い娯楽です。
逆に言うと、プレイヤーが自ら積極的に参加しないとちっとも面白くない遊びということです。

たとえば、この原稿を書いているのが日曜日なのでちょうど例に上げたいと思うのですが、「笑点」や「サザエさん」のゲームがあったとしたら、あなたは買いたいと思うでしょうか。

この2つの番組は国民的な知名度があります。しかし、「自分がその世界で活躍してたい!」もしくは「登場人物に成り代わって体験したい!」という気がおきません。
それは、題材の中に「明確に起こしたいアクションがあるか」「解決したい問題があるか」というポイントがないからです。
「サザエさん」は物語や世界観はあっても、「サザエさんとはこのような問題解決をするドラマである」というフックがない訳です。

また、「笑点」にいたっては、そもそも物語や世界観がほとんどないためにそういったフックを作りにくい。
人気のバラエティ番組はときどきゲーム化されますが、売れた作品はほとんどありません。それらの多くは「芸能人がおもしろおかしくチャレンジしたりクイズしたりする」姿を見たいだけで、自分がアクションしたい題材ではない訳です。

つまり、有名な題材であっても、プレイヤーが問題解決したくなるフックのないものは、ゲームとしては非常に厳しいということになります。
その題材に問題解決したくなる要素はあるのか、しっかりと見極めましょう。

ちなみに、「笑点」や「サザエさん」のゲームから問題解決したくなる要素を、その世界観を崩すことなく考えるというのは、これはこれでいい企画力の訓練になります。
いい切り口が浮かんだらぜひ教えてください(笑)

※次回更新は2014/04/02(水)の予定です!

2014年3月28日金曜日

【ヤナセコラム】他人のゲームをどこまでプレイするか?

ゲーム開発者は他人のゲームをどの程度プレイしているでしょう?
正直、これは千差万別で、様々なゲームをやりこんだ末に自分ではまったく別種のゲームを作る方もいれば、自身ではほとんどゲームを遊ばず、自分の理論を積み重ねて素晴らしいゲームを作る方もいます。

私自身は、少なくとも私が作りたいと思っているジャンルに近いものはある程度プレイする派です。標準的には月に40時間程度はゲームプレイに費やしています。これは単純にゲームで遊びたいのが半分、最新テクノロジーによって作られたゲームを勉強しておきたいと考えているのが半分というところです。

中には、体験版やチュートリアルなどをプレイすれば十分に理解できるというベテランの方もいらっしゃいますが、私はあまりそうは思っていません。何故なら体験版などでわかるのは短い時間で買いたいと思わせるための構成であって、長い時間遊んでもらうためのものではないからですね。
単純にインタラクション的なものやグラフィック、その他様々な表現のレベルを把握しておきたいというなら冒頭だけ遊んでも済むかも知れませんが、トータルのゲームデザインを学びたいならそれだけでは不足しています。
ゲームデザインは与えたい体験があり、そのためのゴールと道筋を設定して行われます。途中の過程でどのような道筋でどのようなゴールにたどり着くかを想像する事は出来ますが、実際にどうだったのか、どの程度有用だったのかという検証をするにはやはり最後までプレイするのがいちばんです。

また、シリーズものをプレイする際にも、一本だけプレイするのと何本かプレイするのとでは得られる知見がかなり違ってきます。一つのシリーズの変遷には世の中に求められているものやバックグラウンドの技術など多くの要素が絡んできます。例えばあるゲームの3つ目のシリーズをプレイした時に、要素が少ないのではないかと思ったとして、それが減った結果そうなったのか、それとも前のシリーズから増えていないのかで「何故そうなったのか?」という考察は大きく違ってくるわけです。自分の感覚と世間の評判を比べた時にどの程度違ったか、同じかという事を見極める意味でも有用です。

以上の話は、ゲームを長時間プレイしよう、たくさんやろうという事ではありません。やるからには多くのものを得ないと時間の無駄になってしまうし、やらないならそこで得られたであろう知見よりも多くのものをプレイしない時間で得ないといけない、という話です。

これまで遊んできたゲームから自分が何を得られたのか、もしくはもっとやるべきなのか減らすべきなのか、考えてみるのも良いでしょう!

2014年3月26日水曜日

【第35回】好意的な題材とネガティブな題材

いままで題材の有利・不利をずっと話してきた訳ですが、たとえ有利な題材であっても注意すべき点がいくつかありますので、今回からしばらくその話をしたいと思います。

まずは、好意的な題材とネガティブな題材について。
知名度が高いからといって、その題材が必ずしも好意的とは限りません。
一番わかりやすい例は、よく雑誌などに載っている「嫌いなタレントランキング」。
ここで上位に上がってくる芸能人は、ほとんどの人が知っている有名人ですよね。

また、アメコミなども、映画ブームが来る前は日本人にとってはネガティブな題材でした。
日本のマンガ文化が強すぎて、スーパーマン、バットマン、スパイダーマンなどのキャラクターは多くの人が知ってはいるものの、
「何あの恥ずかしいコスチューム」
みたいな印象が強かった訳です。

このように、有名であってもネガティブなイメージの題材は存在するのです。そして、ネガティブな題材というのは当然ながらプレイヤーは体験したくありません。
ですので、題材論では優位だったBやDの領域であっても、それが好意的な題材かどうかしっかりと見極めてください。

※次回更新は2014/03/28(金) 「ヤナセコラム」の第3回の予定です!ゲーム企画塾第36回は2014/03/31(月)に更新予定です。

2014年3月24日月曜日

【第34回】日常題材から非日常を抽出する

前回のイメージ題材から領域シフトする方法とは別に、Aの「日常」題材の中からBの「非日常」部分をうまく抽出してBの領域にシフトさせるという方法もあります。

この代表例は『ときめきメモリアル』ではないでしょうか。
『ときめきメモリアル』は高校生活という日常題材の中から、「いろいろな女の子にモテモテの高校生活」という、現実にはありえない(ひょっとして千人に一人くらいは現実だった人がいるかもしれませんが)非日常部分を切り出すことでBの領域にシフトさせることに成功した訳です。



以前Aの題材例に上げたサラリーマン(会社員)の生活でも、そこから「嫌いな上司を殴り倒しまくるゲーム」「半沢直樹みたいに倍返しできるゲーム」「OLが生意気な上司を屈服させて奴隷のように扱うゲーム」とかだったら、非日常領域にシフトできる可能性がある訳です。

この手法は、題材として一番強いBの領域にシフトさせることができるだけに、うまくはまるとかなり高い効果を上げることができます。
みなさんもぜひ日常の中に潜む非日常を探してみてください。

※次回更新は2014/03/26(水)の予定です!

2014年3月21日金曜日

【第33回】流行が生み出す題材イメージ

以前、ファンタジーやSFは売れにくいという話をしました。
しかしながら、古くからのシリーズやIP作品でなくても、成功を収めているものも存在しています。

そういった作品は、もちろんゲーム内容や、宣伝・プロモーションがうまいのもあるのですが、もう一つ、作品からふんわりと人気のハリウッド映画や(日本においては)アニメなどの「イメージ」が見えてくるものも多いのです。

たとえば、『マスエフェクト』などアメリカのSFゲームの多くは、あきらかに『スタートレック』や『スターウォーズ』の影響を受けています。
また、巨大ロボットが出る日本のゲームは、やはり富野由悠季作品を始めとするロボットアニメの姿がにじみ出ているものが多いでしょう。

これらの場合の多くは前回話した題材シフトほど直接的ではなく、どちらかというとインスパイア(触発)のレベルではありますが、それゆえにゲームとしてのオリジナリティと、伝えやすい世界観のバランスがうまく取れる場合も多いのです。

このあたりを意識してくると、はやりのコンテンツや映画を見る眼が変わってきます。
なぜそれらが流行して、どういった部分が多くの人に受け入れられているのか。どういった世界観やイメージが一般化しているか。
そこを考えることで、自分たちのゲームが受け入れられるポイントも見つけやすくなるのです。

※次回更新は2014/03/24(月)の予定です!

2014年3月19日水曜日

【第32回】イメージさせる題材で領域シフトを行う

前回まで、題材の問題を切り抜ける手法として、新ジャンルとの組み合わせについて説明してきました。
今回は、もう一つの方法として、題材のうまい部分を抽出したりアピールすることで、題材の領域をシフトさせるという手法について話したいと思います。

例えば『バイオハザード』。
いまでこそ、総合的なホラーアクションになりつつありますが、1作目はゾンビを前面に押し出した、まさにゾンビアクションアドベンチャーゲームでした。
『バイオハザード』は特定のゾンビ映画を原作にしたゲームではありません。しかしながら、ゾンビの潜む館で生き残りをかけるサバイバルホラーの設定から、ゾンビ映画をイメージした人は多かったと思います。

つまり、『バイオハザード』は、もっとも不利なE(オリジナルフィクション)の領域を、2番目に有利なDの領域に事実上シフトさせることに成功させているのです。



ウルトラマンなどの特撮モノをイメージさせる『地球防衛軍』や、ちょっと古いですが映画『トラック野郎』をイメージさせる『デコトラ伝説』などもこのパターンに入るでしょう。

ただ、この手法もやりすぎると危険な場合が出てきます。
ゾンビの例でいえば、以前あるゲームが特定のゾンビ映画をイメージさせ著作権を侵害しているということで裁判になりました。
最終的にはゲームは映画の権利を侵害していないという判決になったのですが、イメージさせる題材は、こういった事態が発生する危険性は常につきまといます。
そういった点も念頭に置いて題材の選択や、アレンジ方法をしっかり考える必要があるかと思います。

※次回更新は2014/03/21(金)の予定です!

2014年3月17日月曜日

【第31回】新ジャンルとの組み合わせの注意点

前回、題材の問題を切り抜ける1つ目の手法として、「人気題材と新ジャンルの組み合わせ」の話をしました。
今回お話する『イナズマイレブン』もこの例になるかと思います。

発売当時もサッカーはあきらかに過当競争題材で、「ファミ通」などを発行するエンターブレイン社長の浜村氏ですら「失敗すると思っていた」参入でした。
しかしながら、他のサッカーゲームにないRPGのシステムと、それに伴ったストーリー性を入れることで成功した訳です。

ただ、1作目の初回本数は大ヒットといえるほどではなかったことは注目すべき点です。
しかし、TVアニメやコロコロコミックのタイアップ等、すぐれたプロモーション戦略でロングセラー化、さらに2作目以降の大ヒットに繋げていったのです。
つまり、TVアニメやマンガといった手に取るコストが安いメディアで「イナズマイレブン」の世界感を伝えることができた(=ゲームでの体験感がイメージしやすくなった)のも大きい訳です。

また、前回例に上げた『真・三國無双』も、本当の大ヒットといえるのは2作目からで、しかも『イナズマイレブン』と同じように、初回型ではなくロングセラー型のヒットとなっています。

なので、安易に新ジャンルやシステムとの組み合わせに頼るのは危険です。
その組み合わせはイメージしやすいか、イメージしにくいならどのような見せ方、伝え方をすれば伝わりやすくなるかを考えて、組み合わせを選ぶことが重要です。

逆に言うと、すでに周知されているジャンルやシステムとの組み合わせでないと効果は薄くなります。斬新すぎるシステムだと何度も言うようにゲームの体験感がイメージできなくなるからです。

※次回更新は2014/03/19(水)の予定です!

2014年3月14日金曜日

【第30回】人気題材と新ジャンルを組み合わせる

題材の問題を切り抜ける1つ目の手法は「人気題材と新ジャンルの組み合わせ」です。

過当競争の題材に、今までと違ったシステムやジャンルと組み合わせることで、新しいゲーム体験感をイメージさせることが可能になるわけです。

例えばコーエーの『真・三國無双』。
コーエーは『信長の野望』『三國志』といった大人向けの歴史シミュレーションで、PCゲーム市場ではトップメーカーでした。
しかしながら、家庭用ゲーム機市場では本格的なシミュレーションゲームはユーザーにとって難しく、PCゲームほどの存在感を示せていなかったのです。

それをひっくり返したのが『真・三國無双』です。
シミュレーション性に拘らず、三国志という人気題材にアクションをくっつけて「三国志の英雄たちが敵をなぎ倒していく」爽快感をアピールすることで大ヒットに繋げた訳です。

また、その前に発売されていた一対一の対戦格闘ゲーム『三國無双』に対し、『真・三國無双』では、一対多に切り替えたことも大きいと思います。
コーエーの強みがあまり活かせてない普通の対戦格闘ゲームではなく、「有名な戦いを1人の武将視点で再現する」という、得意分野である歴史シミュレーション感が活かせるようになったからです。

※次回更新は2014/03/17(月)の予定です!

2014年3月12日水曜日

【第29回】じゃあ、どの題材を選べばいいの?

ここまで有利な題材・不利な題材の話をしてきました。
もう一度、優位な順に番号を打って整理しましょう。


では、実際に企画する際には、一番有利であるというBの題材を選べばいいのでしょうか。
そう簡単にはいきません。

題材として魅力的であるということは、すでに参入者が多い、ということだからです。
正直、Bの領域はすでに過当競争です。野球やサッカー、戦国時代などを題材にしたゲームがいかに多いかは、皆さんもご存じでしょう。

では次に優位なDは?
この領域は権利ビジネスであり、正直お金と権利を獲得できるステータスが重要なので、学生が考える企画の本分ではありません。
(あなたが『ワンピース』や『ガンダム』のゲームを個人的に作りたいと思っても、権利を得られると思いますか?)

A、Eがダメとなると、消去法的にはCの題材しか残っていません。
「多くが知らない」といっても、その幅はかなりあるので、一定のファン層がいるうまい題材を選べば手堅く成功する可能性があるからです。
ただ、この領域もけっこう掘り尽くされていて、そんなにうまい題材が残ってないのも事実です。
可能性があるとすれば、何らかのきっかけでブームになる前にその動きを察知して、そこを狙うあたりでしょうか。
(ゲームの開発期間と、昨今のブーム消費の短さを考えるとこれもなかなか大変なのですが)

「なんだ、これじゃどの題材を選んでもダメじゃないか!」
と思われるかもしれません。
実際、現状がこのような状況なので、今のゲームタイトルは続編と版権モノが溢れている訳です。

しかしながら、まったく手がないわけではありません。
次回からは、それらの手法について話をしていきたいと思います。

※次回更新は2014/03/14(金)の予定です!

2014年3月10日月曜日

【第28回】パズルもやっぱり売りにくい

前回、「学生さんの企画の中で圧倒的に多いのが、ファンタジーRPGとパズルです」という話をしました。
今回はパズルの題材について考えてみたいと思います。

結論からいうと、パズルは多くが世界観的な題材を持ってない場合が多く、せいぜいモチーフレベルでとどまっている場合が多いです。
例えば『テトリス』はペントミノ、『ぷよぷよ』はスライムがモチーフですが、それが題材というレベルにはなっていません。

パズルはどうしても「ゲームルール・システムそのものが魅力のすべて」になりやすいところもあって、本格的な題材と相性が悪いようです。
ゆえにパズルゲームは、題材論的にはやはり不利な選択になりやすいということになります。

ただ、モチーフレベルでも、それがゲームをイメージできる手助けにはなるので、ゲームのイメージにうまく合うものがあれば、いいモチーフを積極的に選んできたいものです。

アドベンチャーゲームと合体させることで世界観をうまく導入した『レイトン教授』、それまでソーシャルゲームで人気だったカード育成系ゲームにパズルを取り入れることでファンタジー題材とつながりやすくした『パズル&ドラゴンズ』といった工夫例も参考になるでしょう。

また、パズルゲームはシステムの特長がシンプルな分、他のジャンルに比べれば企画書で内容をアピールしやすい、サンプルのプログラムが作りやすいといった利点もありますので、もしパズルゲームを企画で考えている学生さんは、題材の不利をどう覆すか、いろいろ考えてみてください。

※次回更新は2014/03/12(水)の予定です!

2014年3月7日金曜日

【第27回】RPG企画書の欠点

前回の続きです。

学生の企画の中で圧倒的に多いのが、ファンタジーRPGとパズルです。
しかしながら、ファンタジーRPGの企画で、「これは!」と思ったことは残念なことにほとんどありません。

そもそも、「ファンタジー」という題材、「RPG」というジャンルを、何の疑問もなく選択しすぎです。そこに必然がありません。
多くの学生さんは、自分が感動したファンタジーRPGがあるから、その体験感で選んでいるだけのように思えます。

また、企画書のほとんどが、細かいシステムの差異であったり、世界観の違いであったり、すでに他の作品でも試されている内容であったり(「レベルアップがない!」をアピールした企画書を今までに何回見たでしょうか)で、正直企画としてまったく差別化されていないものばかりです。

すでに山のようにあるファンタジーRPGを、さらに1本世に問う訳ですから、他の題材やジャンルに比べてより差別化が必要なはずです。
しかし、「ファンタジー」は前回話したように題材として弱く、「RPG」は様々なシステムがすでに試されています。

あなたがもしファンタジーRPGの企画書を書こうとしているのなら、そういった問題点をもう一度検討した上で、それでもファンタジーRPGでなければならないのか、既存作品と一言で差別化できるポイントがあるのかをしっかり考えてください。

※次回更新は2014/03/10(月)の予定です!

2014年3月5日水曜日

【第26回】ファンタジーRPGは売れるという幻想

さて、前回で題材のタイプによる有利・不利を説明しました。
では、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったファンタジーRPGはどの領域に入るでしょうか?



これらの作品は新規のファンタジー世界を元にしたオリジナルフィクションですから、実は題材論だけで考えると最も売りにくいEの領域になるのです。
「おかしいじゃないか、ドラクエやFFは何百万本も売れてるじゃないか!」
という人も多いかもしれません。
しかしながら、ドラクエやFFは、何と言ってもまだゲーム性がセールスポイントになった時代からの、シリーズとしての実績があるのです。

RPGというジャンルは「やればおもしろい」典型的なシステムを持っており(これについてはいつか触れたいと思います)、ゆえに初期からの有名タイトルはプレイヤーの中に「新作もおもしろいにちがいない」という「おもしろそう」感を生み出すことに成功しているのです。

近年の新作RPGはなかなか厳しくなってきています。
例えば、昨年2013年の家庭用ゲーム機市場で考えると、シリーズ物でも版権物でもないルーキータイトルで、ある程度の売上げを上げたRPGは「妖怪ウォッチ」くらいではないでしょうか。

「最近のソーシャルゲームでもファンタジーRPG(もしくはRPG風)のヒットが多いのでは?」
と思っている人もいるかもしれません。
しかしながら、ソーシャルゲームも、ゲームシステムのおもしろさが口コミで広がる時代はほぼ終わり、圧倒的な広告とプロモーションで差別化せざるをえなくなってきています。

ゲーム内容がよくわからないファンタジー系ソーシャルゲームの、大量のTVCMや屋外広告を見た人も多いと思います。
よく言えばイメージ戦略、悪く言えばCMや広告ではゲーム内容の差別化がアピールできない題材であるが故に、あのように大量投入して認知度を上げなければならないということなのです。

※次回更新は2014/03/07(金)の予定です!

2014年3月3日月曜日

【ヤナセコラム】教育とチュートリアル

ゲームデザイン研究者の簗瀬です。

前回に引き続き、教育という文字がタイトルに入っています。チュートリアルというのは元々個別指導を意味しており、ユーザーそれぞれに対してゲームの操作方法やルールを教える事を示しています。

チュートリアルというのは非常に重要です。何故なら、ゲームはある程度の要素の組み合わせによって面白さを作っています。する事が決まっており、必ずその通りに出来るのならそれは遊びではなく作業になってしまうので、様々な要素を投入する事によって少しずつ違った局面を作り、判断と実行を繰り返してもらいます。そして完全に正しい判断と実行が可能になった段階、もしくはその少し前に新しい要素を投入し、作業になる事を防ぎます。

この新しい要素を学習するうえで必要なのがチュートリアルです。
このチュートリアルはダイアログの文字によって為される事が多いですが、例えばレベルの構成、出て来る敵の順番などによってさりげなく学習を促進していることも多々あります。良く出来たチュートリアルほど目立たない、もしくはよく出来たデザインのルールとレベルにおいてチュートリアルは不要であると言えるでしょう。

さて、このチュートリアルに関する知見はなにもゲームだけに必要なわけではありません。例えばスマートフォンなど電子機器の操作や、駅の自動販売機、カーナビゲーションシステムなどおよそインタラクティブな操作が求められるデバイスやサービスなどに関して様々な局面で求められます。

細かい事例を挙げていくと、それだけで本が書けてしまうので、ごく基本的ないくつかの事だけ憶えておいて下さい。

・情報は必要な時に必要なものだけを出す

多くの情報を出すと憶えきれなくなりますし、忘れてしまいます。
必要と感じていない情報が頻繁に出て来ると、チュートリアルに対する注意も得られなくなってしまいます。何もかも保険として画面で説明する事は決して親切ではないのです。

・まず必要があり、その後に教える

前述したように、ユーザーに何かを教えるにはその情報を欲しいと思ってもらう必要があります。例えばゲームを起動し、最初の敵が自分を攻撃してきたら相手を倒したいと思うのが普通ですよね。始めた瞬間にコントローラーのボタン配置を出しても、その時に見て憶えてくれるユーザーは稀です。次点は、最初にボタン配置図の出し方を憶えてもらい、知りたいと思った時にいつでも参照してもらえるようにする事です。

・チュートリアルは設計の不備を覆せない

チュートリアルは、ゲームデザインやレベルデザインと一体で、作られたレベルに対して後からチュートリアルを付け足すと、ゲームの流れを止めてしまったり、ユーザーのストレスを増大させたりしてしまいます。優秀なゲームデザイナーはルールや操作を決める際に、どのようなプロセスでそれを教えていくか同時に考えるものです。


チュートリアルを学ぶには、既存のゲームでどのようにルールや操作を教えているのか学ぶのがいちばんです。ただし「良いチュートリアルは見えない」ので、振り返ってあれは良かったと感じる事が多いかも知れません。振り返ってみて、操作やルールに関するストレスを感じていないようだったら、最初からやり直して確かめたり、実況動画などを見てみるのが良いでしょう。

2014年2月28日金曜日

【第25回】有利な題材とは?

さて、前回の宿題、題材の有利・不利の優先順位はやってみたでしょうか。
では、回答編です。



一般的には以下のような順番で有利な題材になります。

B≧D≧C≧A≧E

一番間違えやすいのはAの領域ではないかと思います。AをCよりも上にした人は多いのではないでしょうか。
Aがなぜ不利かというと、日常で体験できることをわざわざゲームでやる必要はないからです。

上の例でいえば、草野球やリアルなサラリーマン生活のゲームが出てきても、それらを日常的に体験している人にとっては、わざわざゲームで買って体験したくなるでしょうか。それならば、ターゲットは限定されてもCの領域の方がまだ可能性があるわけです。

また、BよりもDを一番に持ってきた人も多いかもしれません。
これらの優劣はあくまでも各分類の包括的有利・不利でしかなく、具体的なタイトルや内容によって逆転することもままあります。
しかしながら、一般的には「現実にある」題材の方が、リアルに接することができる以上内容をイメージしやすいのです。

前回の話にも関連しますが、「『ゲームだからこそ現実にないものを題材にすべきだ』という意見は、現実/非現実と日常/非日常を混同した意見」(ゲームデザイン要説 p.47)なのです。

※次回更新は2014/03/03(月)、簗瀬さんの「ヤナセコラム」第2回の予定です!

2014年2月26日水曜日

【第24回】非日常と非現実の違い

前回の分類の補足です。



まず、人によっては「日常/非日常」と「現実にある/ない」の違いがよく分からないかもしれません。

「日常/非日常」が「現実にある」枠にしかないのは、「現実に存在しているが日常的に体験できるかどうか」という分類だからです
野球を例にとれば、プロ野球はほとんどの人は体験できないから「非日常」ですが草野球であれば、仲間が集まれば簡単に体験できるので「日常」となります。

一方、「現実にない」ものは最初から体験不可能だから「日常」ということはありえず、自動的に「非日常」となります。ですから、「日常/非日常」の分類「現実にある」しか必要ないのです。

また、ターゲット消費者の多数が「知らない」というのは、題材から内容をイメージできないものも含みます。
例えば、多くの日本人はアメリカンフットボールという競技の存在は知っていても、「ルールやチームのことはさっぱり」という人は多いと思います。

以上のことを元に、ターゲットユーザーを一般的な日本人全体で考えると、題材の内容例としては以下のような感じになるでしょうか。




では、ここで問題です。このA~Eに分類された題材が「おもしろそう」と感じやすい優先順位はどのようになるでしょうか?
次回までの宿題とするので、ぜひ考えてみてください。

※次回更新は2014/02/28(金)の予定です!

2014年2月24日月曜日

【第23回】ゲーム題材の分類方法

これまでの話で、題材がゲームの「おもしろそう」を伝えるのに非常に有効なのはわかっていただけたと思います。
しかしながら、題材を設定さえすればすべての企画が「おもしろそう」になる訳ではありません。「とてもおもしろそう」な題材もあれば、「あまりおもしろそうでない」題材もあるのです。
そこで必要となってくるのが題材の分類と、その優位性です。

このテーマについては同人誌『ゲームデザイン要説』(ビデオゲーム工学学会 1997年第二版)が優れた分類を行っているので、ここで紹介したいと思います。

『ゲームデザイン要説』では題材を2つの評価軸で分類しています。
1つはその題材をターゲット消費者の多数が「知っている」「知らない」という分類。
もう1つはその題材が「現実にある」「現実にない」という分類。
それを2つの軸として分類すると、以下のような表になります。



さらに「現実にあって知っている」領域を「日常」「非日常」に細分化します。



これで、上の表のようにA~Eの5つの領域に分類されました。
この分類を元に次回から題材の有利、不利の話を進めていきたいと思います。

※次回更新は2014/02/23(水)の予定です!

2014年2月21日金曜日

【第22回】テーマは企画書に不要

「題材」と「ジャンル」と「テーマ」の違い、今回は最後の「テーマ」についてです。

「テーマ」は大辞林の「主題」の通り「作者があらわそうとする基本的な思想内容」。
「愛」とか「友情」とか「平和」とか「家族のあり方」とか、そういったものですね。
(「テーマ」という用語は適用範囲が広く、会社によっては題材やモチーフ、ジャンル等にも使われることがあるのですが、『ゲーム企画塾』では上記のように定義します)

端的にいえば、テーマにはほぼ企画的価値はありません。
ほとんどのユーザーはテーマのためにゲームをプレイする訳ではなく、多くはやった結果としてテーマが響くからです。

もちろん、いいテーマを選び、うまく表現することはゲームの完成度を高めますので、テーマそのものに意味がないということではありません。
ただ、企画書という視点で考えた場合、企画書にテーマを書くことは、よほど問題解決と直結(シリアスゲームのような)していない限り、ほとんど意味がないということです。

さて、3回に渡って「題材」と「ジャンル」と「テーマ」の違いを話してきました。
読んでいる方はもう気づいたと思いますが、この3つを取り上げたのは、これらが違いを考えず、アピールする優劣の判断なしに同じように企画書に書かれていることが多いからです。

企画書に書くべきポイントという視点で今までの話をまとめると、一般的には

題材≧ジャンル>>>テーマ

ということになります。
もう一度この3つの違いを理解し、企画書でアピールする優先順位を間違えないよう注意してください。

※次回更新は2014/02/24(月)の予定です!

2014年2月19日水曜日

【第21回】ジャンルとはラベルのようなもの

前回の続き、今日は「ジャンル」の話です。
「ジャンル」は大辞林にあるように、まさに様式の区分です。つまり、ゲームにおいては、特徴的なゲームシステムの集合体をわかりやすく名前を付けたものです。

例えば、RPGでしたら「戦闘によってキャラの経験値がたまり、その経験値でレベルアップする」「武器や防具を替えることでより強くなる」「複数の職業を組み合わせることで状況に合わせてパーティを組む」といったRPGによく見られる個々のゲームシステムの集合体を、「RPG」というラベルにして、1つの様式としてわかりやすく呼んでいるだけなのです。

「ジャンル」はこのように一般的に認知されているゲームシステムの集合体であるため、ゲームのイメージは伝えやすくなります。
しかしながら、そのジャンルに一般的には用いられない新しいシステム(例えばRPGで経験値によるレベルアップではなく別の要素で強くなる等)は、当然ながらイメージしにくいため、斬新なシステムにとっては時に欠点にもなります。

この欠点をカバーするために、複数のジャンルを組み合わせる場合もあります。
たとえば、「シミュレーションRPG」とか「アクションアドベンチャー」とかです。
これは、1つ1つのジャンルは周知のものだが、それを組み合わせることで、新しいシステム感をアピールしようというものです。
ただ、この場合も組み合わせがあまりにも斬新だとイメージできない場合があります。(例えば「恋愛アドベンチャーシューティングゲーム」と言われてどんなゲームかイメージできますか?)
またその組み合わせが一般化すると、やはり周知されたジャンルになってしまうので注意が必要です。

※次回更新は2014/02/21(金)の予定です!

2014年2月17日月曜日

【第20回】題材とジャンルとテーマの違い説明できますか?

題材を中心に企画を考える前に、ちょっと寄り道して整理しておきたいことがあります。
「題材」と「ジャンル」と「テーマ」の違いについてです。
ここをごっちゃにしていると「題材」を起点とした企画をしっかりと考えられなくなります。

ちなみにiPhone版の「大辞林」で引いてみますと、それぞれの用語は以下のように書かれています。
  • 題材・・・芸術作品などの制作の対象としてとりあげ、その主題となる材料。
  • ジャンル・・・部門。種類。特に芸術作品を様式・内容によって区分する場合にいう。
  • テーマ・・・創作や議論の根本的意図・題目・中心課題など。主題。
    (主題・・・芸術作品に、作者があらわそうとする基本的な思想内容。テーマ)
これをゲームに当てはめてみましょう。
まず「題材」。大辞林にあるように「製作の対象、主題となる材料」です。
すごく簡単にいうと、そのゲームに一環して流れる世界観のようなものです。

題材は、現実に存在する場合もありますし、存在しない場合もあります。
たとえば、サッカーや戦国時代といった題材は現実に存在します。
逆に、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」のような、ゲーム用に考えられたファンタジー世界は現実には存在しません。

また、現実に存在しないが、現実に存在するかのようにイメージできる題材もあります。
たとえば「ガンダム」や「ワンピース」といった有名な版権タイトルを持ってきた場合、その題材は現実には存在しませんが、世界観が別のメディアによって周知されていますから、ゲームを始める前でもその世界観をイメージすることが可能なのです。

後で述べますが、このイメージできる、できないという要素は、題材にとって非常に重要なポイントになってきます。
ちょっとだけ気にとめておいてください。

※次回更新は2014/02/19(水)の予定です!

2014年2月14日金曜日

【第19回】題材は補助線

題材を先に決めることのメリットはもう1つあります。
企画のポイントが整理され、企画書が読みやすくなるのです。

学生さんがゲームの企画を考える場合、経験がないため、アイデアの整理や絞り込みがうまくいかないことが多いのです。
そのため、企画書に落とし込み際にも、内容が散漫になったり、必要以上に多く書いたりしがちです。

しかし、題材を先に決めることで、自由気ままににゲームを考えるのではなく、与えられた制約の中からアイデアを考えることになります。
また、その題材の魅力を表現するための、ゲームシステムの肝がどこかを考えやすくなり、企画書でアピールすべきポイントが見えてきます。

さらには、ターゲットユーザーも考えやすくなります。
ゲームシステムからターゲットユーザーをイメージするのはプロでも至難の業です。それはゲームシステムが斬新であればあるほど、まったく前例のないおもしろさを分かってくれる人が誰か、非常にイメージしにくいからです。
しかし、題材が先にあれば、その題材を好きな人をまずイメージすることができます。その上で、ゲームシステムの狙いを絞り込むことができるのです。

つまり、題材が企画を考える際の補助線のような役割を果たす訳です。

※次回更新は2014/02/16(月)の予定です!

2014年2月12日水曜日

【第18回】システムではなく題材から考える

今回から第2章「題材からの企画・理論編」に入ります。

基本編で、ゲームの与えてくれる楽しさを伝えるのは「おもしろそう」が大事だという話をしました。
では、どうすれば「おもしろそう」な企画になるのか。

「【第14回】「おもしろそう」はゲームの中に入れるしかない」で述べたように、大々的な広告やプロモーション、シリーズ物といった手法を使うことはできません。
そこで、『ゲーム企画塾』では、まず「題材」を決めよう!と提言したいのです。

題材を決めることで「おもしろそう」をイメージしやすくなります。
なぜなら、ユーザーは「題材」そのものから与えてくれる楽しさを予想することができるからです。

例えば、ドラゴンボールの格闘ゲームと聞けば、原作のように孫悟空がベジータやフリーザと戦うイメージがすぐに湧く。
また、野球の監督になるゲームと聞けば、選手起用を中心としてチームを優勝に導くイメージが湧く。
つまり、ゲームそのものをやっていなくても、それらのイメージが、自分の求めている「仮想体験への期待」に一致した場合、ユーザーはそのゲームを「おもしろそう」と感じることができるのです。

題材によって「おもしろそう」というイメージを作り出すことで、ゲームの内容も説明しやすくなります。
  • 企画書でも
  • プレゼンテーションでも
  • 販売店に伝えるときも
  • 雑誌記事でも
  • パッケージでも
  • 広告でも
  • 友達に勧めるときにも
  • SNSでも
ゲームの魅力を少ない言葉で効果的に伝えることができるようになるのです。

※次回更新は2014/02/14(金)の予定です!

2014年2月10日月曜日

【ヤナセコラム】学習、教育、そしてゲーム

皆さんこんにちは、ゲームデザイン研究者の簗瀬です。
耳慣れない職業かとは思いますが、例えばこんな研究発表をしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ch7xv0zbEIE

今回からときどき、ゲームデザインを少し外から眺めるような視点でコラムを書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

さて、タイトルの件ですが、昨今シリアスゲームやゲーミフィケーションなどという言葉を耳にする機会が増えてきたのではないかと思います。
が、ここで触れたいのはそういった事とはまた少し違う話題です。

すべてのゲームにはルールがあります。
ゲームをプレイする際、皆さんはどうルールを知り、理解し、使いこなせるようになっているでしょうか?

誰かに聞く、説明書を読む、他人のプレイを見るなど様々な方法があると思いますが、自分で試し、成功と失敗を繰り返してルールを理解し、活用出来るようになっていくのが普通ですよね。

例えば……

・敵を1体倒すごとに自分のエネルギーを貯める事が出来ます
・自分の攻撃を敵に当てると敵のHPが減ります
・エネルギーを貯めると必殺技を使う事が出来ます
・5体に一体、他の敵のHPを回復させる敵が出ます
・自分のHPがゼロになるとゲームオーバーです
・相手のHPがゼロになると敵を倒す事が出来ます
・敵を3体倒すと1体強い敵が出ます
・相手の攻撃を受けるとHPが減ります

などと説明されると、一つ一つは単純で丁寧な説明があったとしても要素が重なる事でどう立ち回れば良いのかわからなくなってしまいます。

全ての要素が揃うと奥深い知的かつエキサイティングなゲームプレイが楽しめます……などと銘打ってもそれが理解出来る前にくじけてしまったら何にもなりません。

そこで多くのゲームでは例えば
・こちらを攻撃して来ない敵(または障害物)が出る
・攻撃を当てると敵を倒せると理解出来る
・敵が攻撃してくる様になる
・回避する、離れるなど攻撃を避ける様を教える
・少し強い敵が出る
・技を活用して大ダメージを与える術を教える
などというように少しずつ新しい要素を増やし、増やした要素を駆使しないと先に進めないようにデザインするわけです。

こういった手法はゲーム特有のもの、というわけではありません。
例えば学校の教科書は小学校1年生の数の数え方や足し算から始まって、何年もかけて微分積分など難しい要素までステップアップしていきます。そして、その過程でテストなどを挟み、そのために勉強してもらって出来るだけ多くの生徒が教えた事を理解した状態になっているよう設計されています。

革新的で奥深いゲームデザインが出来たとしても、それを理解出来る人間にしか伝わらなかったら非常にもったいない結果になります。そのため、ルールを考えたら同時に最高に面白いという状態までどうやってプレイヤーを誘導していくか、という事を考えなければなりません。
そしてそれを行うのは説明書や口頭での解説ではありません。ゲームは遊びによってルールを教え、積み重ねて遊びをさらに面白くしていくよう設計されています。

皆さんもゲームを遊ぶ際、それを意識して情報が出て来る順番、自分の出来る事や障害がどのように複雑になっているか、是非観察してみて下さい。

※次回更新は2014/02/12(水)の予定です。『ゲーム企画塾本編』第2章「題材からの企画書・理論編」の開始です!

2014年2月7日金曜日

【第17回】第1章「基本編」のまとめ

今回で「第1章 基本編」は終わりです。
いままでの内容をおさらいします。

●プランナーは他のゲーム業種に比べ競争が激しい
●学生の企画書はスキルが試されている試験問題のようなもの
●企画とは「問題解決」である
●企画の本質はたった2つ
 「この企画にしかないおもしろさは何か
  それをおもしろいと思ってくれる人は誰か」
●ゲームを手にとってもらうには「おもしろそう」が大切
●「おもしろそう」はゲーム企画における問題解決に直結する

さて、次回2/10は簗瀬さんのコラムをお届けし、2/12から、いよいよ企画書を具体的に考えていくパートとして、第2章「題材からの企画・理論編」を開始したいと思います。お楽しみに!

※次回更新は2014/02/10(月)の予定です!

2014年2月5日水曜日

【第16回】「おもしろそう」を裏切るな

ここまでの流れでわかった人も多いと思いますが、実は「おもしろそう」はゲームにおいて、一番伝えやすい問題解決提案の方法なのです。
「おもしろそう」と思うということは、その人の「期待」の解決策を、少なくとも遊ぶ前から提案できているからです。
「おもしろい」が伝えにくいのであれば、「おもしろそう」が問題解決の提案につながっていればいいのです。

ただ、大切なのは「おもしろそう」の期待を裏切らないことです。
皆さんも「買う前はあんなにおもしろそうだと思って買ったのに、やってみたらおもしろくなかった」ゲームの1つや2つ、経験があるでしょう。
「おもしろそう」は必ずしも「おもしろい」ではないのです。

たしかに「おもしろそう」はその製品の売上げを(特に発売直後は)押し上げます。
しかしながら、「おもしろい」はその製品やメーカーのブランドイメージを押し上げます。
ブランドイメージが上がるということは、長期的な売上げにつながってくるということです。
だからこそ「おもしろそう」が「おもしろい」に直結することは大切なのです。

また、「おもしろそうと直結するおもしろさ」がきちんと実現された上で、「やってみたらここもおもしろい」があるのはまったく問題ありません。感動的なストーリーなどはその最たる例でしょう。
期待に応えるおもしろさと、いい意味で期待していなかったおもしろさの両輪があるゲームは、ユーザーに強いインパクトを与えることができます。

ただし、「やってみたらここもおもしろい」は、企画においてはアピールポイントにならないことに注意してください。
ゲーム企画書の特長ページに、よく「感動的なストーリー」を上げる人がいますが(恥ずかしながら石川も昔書いたことがあります)、それは何ら響く言葉でないのです。

※次回更新は2014/02/07(金)の予定です!

2014年2月3日月曜日

【第15回】仕様概要書のような企画書ができるわけ

ゲームのおもしろさを一言で伝えるのがとても難しいということは、ゲーム企画で問題解決を提案するのも難しいということです。

以前、コンビニコーヒーの例を挙げましたが、こういった目に見える具体的、物理的な利便性に対して、ゲームが与えてくれる「おもしろさ」は心理的なメリットであるがゆえに提示しにくいのです。

パチンコが大好きでTVゲームをしない知人が昔、
「なんで1円の得にもならないTVゲームなんかをみんなやるのか理解できない」
と言っていましたが、彼にとっては「ゲーム=お金稼ぎ」であり、TVゲームは同じような目に見えるメリットが提示されないからこそ理解できない訳です。

ここにゲーム企画をする際の大きな落とし穴があります。
プランナーを目指している多くの学生さんは、おそらくゲームが大好きだと思います。
それゆえに、ゲームの与えてくれる楽しさを「感覚的に」理解しています。

そのため、自分たちが企画を考える際も、頭の中でなんとなく楽しさが理解できてしまう訳です。
そして、この楽しさを分かってもらうためには、ゲームの仕様を詳しく書きさえすればいい。そうすれば、他の人も頭の中で楽しさを疑似体験して分かってもらえる、と勘違いしてしまう。
学生のダメな企画書の代表例の1つ、「企画書というより仕様概要書みたい」のできあがりです。

しかしながら、それは楽しさを「具体化」「客観化」「論理化」できていないため、他の人には伝わりにくい。それは、同じゲームユーザーやゲーム業界の人間であっても同じなのです。
遊んだことのないジャンルで考えるとわかりやすいと思います。ゲームが好きだけど、シューティングゲームやストラテジーゲームをやったことのない人間は、それらのゲームの楽しさを遊ばずに理解することは難しいのです。

※次回更新は2014/02/05(水)の予定です!


2014年1月31日金曜日

【第14回】「おもしろそう」はゲームの中に入れるしかない

前回の続きになります。
「おもしろそう」と思わせる手段はさまざまな形があります。例えば大々的な広告やプロモーションといったものはその代表的なものです。
しかしながら、学生の企画書でその領域をカバーすることはできません。

収益という概念のない学生の企画書に「広告に1億円かけて認知させます」と書かれても、「その1億円どうやって調達するの?」と言われておしまいです。
同じようなミスで「大ヒットマンガのゲーム化」「人気声優多数!」「有名キャラデザイナーを起用」等々もありますが、自分が責任をもって実現できないものは企画書に書かないようにしましょう

また、シリーズ物はゲームシステム側から「おもしろそう」の喚起がしやすいもっとも効果的な手法です。
「前作がおもしろかったから、今回もおもしろいだろう」
という期待感を、ゲームをプレイさせなくても煽ることができるからです。
だからこそ、市場にこんなにたくさんシリーズ作品が溢れるわけです。
しかし、これも新規の企画では当然活用できません。

以上のことから、学生の企画書ではゲーム企画案そのもの中に「おもしろい」だけでなく、「おもしろそう」も入れこむしかありません
(プロの現場においても、予算のないプロジェクトや中小のパブリッシャー作品はここを考えることが重要です)

すぐれたゲーム企画の理想は「おもしろい」と「おもしろそう」の両輪が揃っている状態です。
繰り返しになりますが、「おもしろそう」をアピールできずに手にとってもらえないゲームは、いくらおもしろくても、それを楽しんでくれるチャンスが生まれないのです。

※次回更新は2014/02/03(月)の予定です!

2014年1月29日水曜日

【第13回】「おもしろい」と「おもしろそう」

第10回で「おもしろさを言葉として(しかもそのゲームのことをまったく知らない相手に)一言で伝えるのはとても難しい」という話をしました。

あなたがゲームシステムを絶賛しているRPGがあるとします。
しかし、そのゲームシステムのおもしろさを、プレイしていない人に伝えるのはなかなか大変です。
「ファイナルファンタジー」や「ドラクエ」シリーズくらいになれば、ゲーム専門誌で丁寧にシステムを紹介してくれるかもしれませんが、そもそも今はゲーム専門誌をまったく読まないユーザーの方が多いのです。

また、あなたが感動して涙を流したADVゲーム。
これも、ゲームをやらなければその感動を伝えるのは非常に難しいでしょう。

「やってみたらおもしろい」要素は伝えにくいのです。
そうなってくると、まずゲームを手にとってもらうには、「やる前からおもしろい」と思わせる要素、すなわち「おもしろそう」と感じさせるフックが重要になってきます。

「おもしろそう」のないゲームはユーザーの「遊んでみたい」という期待感を煽ることができず、まずゲームを手にとってもらうというファーストステップからつまずいてしまい、結果として売れないゲームになりがちなのです。

※次回更新は2014/01/31(金)の予定です!

2014年1月27日月曜日

【第12回】ターゲットユーザーを広げすぎない

前回、ターゲットユーザーを明確にする方法の1つとして「この企画が必要でない人」をイメージするという話をしました。
この方向から考える利点はもう一つあって、それはうっかりとターゲットユーザーを広げすぎるのを防げるということです。

石川も昔よくやらかしたのですが、目標本数の根拠を求められて、ついターゲットユーザーを広く設定し、本数が達成しやすくなるかのようなイメージを狙ってしまいます。
しかしながら、「初心者からベテランまで」「子供から大人まで」「男女問わず」といった言葉は、一見広い層をカバーできているようで、その実ターゲット層をイメージできていないと告白しているようなものです。

そして、この広い層狙いはゲームのおもしろさまで悪影響を与えてしまうことが多いのです。
広い層を狙ってつい色々な要素を入れすぎたり、そのゲームの特長であるはずの尖っている楽しさが削られたりする。

なので、石川がターゲットユーザーを考える場合は、これも前回お話した「予約までして買ってくれる人たち」を中心にイメージします。(ソーシャルゲームだったら「事前登録してくれる人たち」でしょうか)
いわゆる「コアターゲット層」です。人気シリーズタイトルでも無い限り、このコアターゲット層が最初に飛びついてくれるかどうかでそのゲームのスタートダッシュは決まります。現在のように、新作タイトルが山のように出ている状況下で、スタートダッシュができなかった場合、その状況をひっくり返すのは非常に厳しくなります。
ですので、しっかりイメージしてターゲット像を絞り込みたいところです。

「そんなこと言っても、コアターゲット層しか書かなかったら、市場性が狭い印象を与えてしまうのでは?」
という不安になりそうだったら、そこから広がる可能性のあるサブターゲット層も併記します。ただし、コア層とは明確に分けて書きます。

こうすることで、ゲームのアピールポイントやおもしろさを考える際に、まずコアターゲット層にとって魅力的かどうかをしっかりと意識できるのです。

※次回更新は2014/01/29(水)の予定です!

2014年1月24日金曜日

【第11回】ターゲットユーザーの考え方

前回の続き、企画のたった2つの本質の②
「そのおもしろさをわかってくれる人は誰か」
いわゆるターゲットユーザーについてです。

②でよく失敗するのは、題材が好きな人=おもしろさを分かってくれる人、と誤解してしまうことです。

たとえば、学生にサッカーゲームのターゲットユーザーを書かせると「サッカーが好きな人」と書く人がとても多い。でも、サッカーが好きな人が全員買ってくれるのなら、苦労はしません。

石川は『機動戦士ガンダム』が大好きですが、ガンダムゲームは数えるほどしか買っていません。
なぜならばアクション性の高いゲームが苦手で、その時点でほとんどのガンダムゲームがそこで脱落してしまうからです。
もし、私のようなユーザーをターゲットとしたいのなら、
「アクションゲームが苦手なガンダムファン」
とでも書かないといけないでしょう。

ターゲットを明確にする方法としては、石川は以下の3つをよく使っています。

1つ目は「このゲームを予約してまで買ってくれたり、朝一番に買いに行ってくれたり、ソーシャルゲームなら先行登録してくれるような人たちはどんな人だろう」とイメージすることです。

2つ目は企画の問題解決から考える方法です。
企画が問題を解決する以上、その問題を抱えている人たちというのが必ずいます。それはどんな人たちなのか、その方向から絞り込んでいくのです。

3つ目は「このゲームをおもしろく思わない人」から考えていくやり方です。
このゲームをおもしろくないと思う人、やろうとしない人、ターゲットとしていない人というのはどういう層かを列挙していって、消去法的にそこに当てはまらなかった人がターゲットユーザーということです。

※次回更新は2014/01/27(月)の予定です!

2014年1月22日水曜日

【第10回】ゲーム企画の本質はたった2つ

ゲーム企画で抑えなければならない本質は、実はたった2つしかありません。

①このゲームの何がおもしろいか(差別性)
②そのおもしろさをわかってくれる人は誰か(市場規模)

この2つがきちんとできていれば、企画は完成しているも同然なのです。
しかし、それがプロでもなかなかできません。私もいつも失敗ばかりでした。(いや、今でも?w)

①はよく言われるところの「ゲームのおもしろさ」です。しかし、そのおもしろさを言葉として一言で伝える(しかもそのゲームのことをまったく知らない相手に)のはとても難しい。
さらにその「おもしろさ」は以前お話した、ユーザーの期待を解決するものでなければなりません。
逆に言えば、一言で説明できない面白さは、ユーザーに伝わりにくく、手にとってもらえない可能性が高いということです。

そしてもう1つ、「差別性」の難しさです。ここでの差別性とはライバルゲームとの差別だけではありません。ありとあらゆる娯楽との差別が要求されます。

例えばペットを飼うゲームの企画を考えた場合、差別すべきは他のペットゲームだけでなく、生のペットそのものも考慮しなければならないのです。
「ゲームでやるより実際にペット飼った方がいいじゃん」
になっては、いくら他のゲームとの差別化ができていても、その企画は失敗ということです。

②については次回に続きます。

※次回更新は2014/01/24(金)の予定です!

2014年1月20日月曜日

【第9回】相手が変われば企画書も変わる

「企画書とは説得である」の話の続きです。

みなさんが誰かを説得しようとする場合に、同じ内容だからといって、相手がだれでも同じ言い方をすることはないですよね?
例えば、父親とおばあちゃん、先生とクラスメート、単なる知人と親友、相手によって同じお願いでも言葉遣いやアプローチ方法が変わっていると思います。

ところが、ゲーム企画書を就職活動で準備する場合には、まったく同じ企画書をそのまま複数の会社に送っている人はけっこういるのです。

例えば、対戦格闘ゲームの企画書を作る場合に、それを格闘ゲームの老舗メーカーに送る場合と、格闘ゲームを出したことのないメーカーに送る場合ではまったく意味が変わってきます。

格闘ゲームの老舗メーカーに送る場合は、今まで出してきた格闘ゲームとどう違うのか、とういう点が重要になってきます。
一方、格闘ゲームを出したことのないメーカーに対しては、「なぜあなたの会社にわざわざ格闘ゲーム企画を出したのか」という視点での説明も重要になってきます。

以前の話の繰り返しになりますが、就職活動用の企画書は「俺のすばらしいアイデアを見ろ!」ではありません。
相手の会社に合わせて内容を修正し、適切な「説得」を目指しましょう。

※次回更新は2014/01/22(水)の予定です!

2014年1月17日金曜日

【第8回】学生にとっての「よい企画書」とは?

前回までに、
「企画者は直接的には売り込み先の問題解決を企画として提案するが、その企画を達成するためにはユーザーの問題解決も満たさなければならない」
という話をしました。
そして、ゲーム会社の場合の売り込み先への一般的な説得とは
「このゲーム企画を通してくれれば、かかる経費を差し引いてもあなたの利益になりますから、当面の時間とお金を出してください」
であるという話も以前しました。

しかし、学生の企画書は開発と売上げを前提としたものではありません。
ですから、学生の企画書にはプロの企画書では一般的な「開発コスト」や「目標本数」は記載されません。
では、学生が就職に書く企画書は、ユーザーへの問題解決だけ考えればいいのでしょうか?

いえ、違います。学生の企画書もゲーム会社に対する説得が存在するのです。
それは就職したいゲーム会社に対して
「私を雇ってくれれば、いずれ給料以上の利益を会社にもたらしますから、ぜひ雇ってください」
自分の能力や将来性をアピールして、雇用を「説得」することです。

どう考えても費用対効果の見込めない企画や、ターゲットユーザーが見えない企画、題材やシステムに対して適切でないプラットフォームの選択などは、ゲーム業界に対する視点が甘いと思われ、雇用するにはスキル不足と判断される場合も出てきます。
ですから、企画書に開発コストや目標本数の項目はなくても、実現性や市場性という視点でも企業側がチェックすることは多いのです。

ただ実現性や市場性と、アイデア部分とで、どちらをどのくらいの比率で重視するかは、各会社によってかなり違いがあると思います。
会社によっては「実現性は問わない」と明言している所もあります。募集要項にはそういった情報も書かれている場合が多いので、しっかりと目を通しましょう。

いずれにしても、学生が書く企画書で企業に対する問題解決は、プロのようなレベルで記載する必要はないですが、「実現性」「市場性」という部分をしっかりイメージすることで、リアリティが増すのは確かですし、プロの現場に近い企画書に仕上がっていきます。

『ゲーム企画塾』の目標は「就職活動に役立つワンランク上の企画書を書けるようになる」ですが、学生さんには就職だけの小手先な技術よりは、就職後も実践で役立つ基本的な技能を身につけてほしいと考えています。
ですので、今後も実現性や市場性を意識しながら話を進めていきたいと思います。

※次回更新は2014/01/20(月)の予定です!

2014年1月15日水曜日

【第7回】問題解決の相手は誰?

企画の本質とは問題解決である、と以前言いました。
では、問題解決すべき相手は誰でしょうか。
「そんなのユーザー(お客さん)に決まってるでしょ?ユーザーの問題を解決するゲームを作ればいいのでしょ?」

たしかに間違ってはいません。
ですが、その前に問題解決しなければならないもう1つの相手がいます。
それは、企画の売り込み先(もしくは依頼主)です。
わかりやすくいえば、会社の役員であったり、発注元であったり、パブリッシャーであったりです。

以前お話したように、企画書は説得のためのツールです。そして、その説得力をつけるために重要なのは、説得相手である企画の売り込み先への「問題解決」ということになります。

売り込み先の解決すべき問題とは、たとえば
「来年度中に×億の利益を達成したい」
だったり、
「人気シリーズの売上げが落ちてきているのリニューアルして前作比150%の売上げを上げたい」
だったり、
「女性向けゲーム市場に参入して、3年以内に黒字化したい」
だったりするわけです。

この問題解決にはどこにもユーザーはいません。
しかしながら、ゲーム企画の問題解決手段が、ほぼユーザーからの支持(多くは売上げ)にかかっている以上、当然ながらユーザーの問題解決も行わない限り、成功する企画にはならないのです。

整理すると、ゲーム製品の企画においては
「企画者は直接的には売り込み先の問題解決を企画として提案するが、そのためには、ユーザーの問題解決も満たさなければならない」
ということになります。

※次回更新は2014/01/17(金)の予定です!

2014年1月13日月曜日

【第6回】「よい企画書」は「よい企画」である必要はない?

前回は「よい企画」について話ました。
では「よい企画書」とは何でしょうか。
それは「企画書は何の目的で書かれるのか?」を考えれば分かります。
端的に言えば、企画書の目的は「説得」です。

企画の「問題解決」にかかるコストを差し引いても、提案相手(会社の上司だったり、パブリッシャーだったり)にとって利益になる(多くの場合は金銭的な)ということの「説得」が企画書の目的なのです。
わかりやすく言えば、「このゲーム企画を通してくれれば、かかる経費を差し引いてもあなたの利益になりますから、当面の時間とお金を出してください」と説得するためのツールが企画書ということです。

ということは、極端な話、企画の問題解決そのものがまるで実現性のないものや的外れなものであっても、説得に成功しさえすれば、企画書としての目標は達成されたことになります。
実際、TVゲームがバブルだった頃(ファミコンやスーパーファミコンの全盛期)にはたくさんの異業種がパブリッシャーに参入したため、実現性のない企画や問題のある企画であっても判断する人が目利することができず、もっともらしい企画書にだまされたという例もあったようです。

ですが、もちろん学生さんたちはこのようなことを考えてはいけません。
きちんと「よい企画」を考え、それを「よい企画書」に仕上げてください。
ただ、「企画=問題解決」「企画書=説得」という違いがあり、それぞれで要求される内容や技術は異なるのだということはしっかりと頭に焼き付けてほしいと思います。

※次回更新は2014/01/15(水)の予定です!

2014年1月10日金曜日

【第5回】「よい企画」と「よい企画書」の違い分かりますか?

.突然ですが、「よい企画」と「よい企画書」の違いわかりますか?
この質問は、言い換えると「企画とは何か?」「企画書とは何か?」という問いかけでもあります。
読むのを一端やめて、ちょっと考えてみてください。

まずは「企画とは何か」から考えていきましょう。
企画とは、問題のある「現状」があり、その一方でこうならいいなという「期待」がある。その「現状」と「期待」の間を橋渡しする「解決方法を考えること」です。

例えば、2013年の日経トレンディヒット番付1位となった「コンビニコーヒー」を例に挙げてみましょう。
  • 現状・・・缶コーヒーでは味気ないけど、手軽さと値段を考えると仕方ない
  • 期待・・・でも安く手軽にいつでも本格ドリップコーヒーが飲めると嬉しい
  • 問題解決・・・どこにでもある24時間営業のコンビニに本格ドリップマシンを導入することで、手軽でリーズナブルな値段のドリップコーヒーを提供する
という「問題解決」でヒットした訳です。

そこであなたは思ったかもしれません。
「日用品とかと違ってゲームって楽しむもので、問題解決とかとは関係ないんじゃない?」
と。でも、例えば
  • 喧嘩もできないけど本当はすかっと暴れてみたい「現状」と、格闘技の達人になってみたいという「期待」の「問題」を解決する
    格闘ゲーム
  • その球団が好きだけど今の監督の指揮が気にくわない「現状」と、その球団の監督になって自分の理想のオーダーや指揮をしたいという「期待」の「問題」を解決する
    プロ野球運営ゲーム
というように、ゲーム企画においても、やはり本質は「問題解決」なのです。
ただ、ゲームの場合は、その「期待」がコーヒーの時ほどには目に見えにくいというだけです。(上の例は比較的わかりやすい内容を示しましたが、時にはユーザー自身が自覚してない場合も多々あります。)

つまり「よい企画」とは、「現状」と「期待」の間に横たわる「問題」を橋渡しする「すぐれた解決方法」であると言えます。

※次回更新は2014/01/13(月)の予定です!

2014年1月8日水曜日

【第4回】プランナーはそんなに企画書を書かない?


プランナー志望の学生は、ほとんどの場合、就職活動で企画書の提出を求められると思います。
しかしながら、もしプランナーとして就職出来た場合、実際のゲーム開発の現場で本当の企画書を書くことは実はあまりありません。

なぜなら、企画書が通るかどうかは、その会社や部署の命運を担っており、そのような重要な書類は、責任のあるリーダー的な人間が書く場合が多いからです。
(ただし、会社によっては企画書コンテストなど、積極的に企画書を書かせようとする社内イベントが行われることもあります。これも「本当の」企画書を書く機会が限られている対策かなと思います)

また、もし企画書を書くことがあっても、ゲーム開発全体の作業量からいくと、その割合はかなり少ない場合がほとんどです。
企画書を書く人間が開発全体に参加した場合、前回書いた企画パートと実務パートのような仕事が発生するのですが、圧倒的に実務パートの作業量の方が多いのです。

では、なぜ就職活動に企画書が求められるのでしょうか。
それはプランナーにまず要求される能力が、
  • すぐれたアイデアを発想するだけでなく、その発想を全体の中できちんと位置づけ、具体的にシステム化できること
  • 市場においてきちんと差別化・ターゲット化できる視点で考えること
  • 他人に説明するために整理し、まとめ、伝達すること
だからです。
その能力を比較的簡単に計ることができるツールが企画書という訳です。

もちろん、企画書という紙切れ1枚でその人の能力のすべてを見抜くことはできませんけど、少なくとも上記のように要求される能力がある程度あるかどうかは判断できます。
ですので、一次選考として企画書は、希望者を絞り込む有用なツールなのです。

別の言葉で言えば、就職活動用の企画書は「俺のすばらしいアイデアを見ろ!」ではありません。
上記のような能力が試されている試験問題のようなものだと考えてください。

※次回は2014/01/10(金)更新の予定です!

2014年1月6日月曜日

【第3回】プランナーは実は広き門?

前回の「プランナーは狭き門」について、
「コンシューマー系の大手パブリッシャー/デベロッパーの正社員新卒採用に限った話ではないか?」
という指摘をいただいたので、ちょっと予定を変更して今回補足したいと思います。

たしかに、学生さんが自分の大好きなゲームを出している大手パブリッシャー・デベロッパーへの新卒就職にこだわるあまり、道を自分たちで狭めていることがけっこうあります。

たとえば、数年前からのソーシャルゲームのブームでは、ソーシャル系の会社がプランナーを大量に採用しました。
そろそろソーシャル系も採用を絞ってきているという話も聞きますが、それでも今までにない就職の道が広がっている訳です。

ゲーム会社は本当にたくさんあります。東京とかでなくても、例えば石川が住んでいる福岡でも、毎年のように新しいゲーム会社さんと出会います。
大手や自分の好きなゲーム会社に拘らず、自分の実力と方向性を見据えた上で、いろいろな会社にトライしてもらいたいと思います。

一番まずいのは、就職浪人することです。
ゲーム業界は、何よりも実績が評価されやすいところです。また、日本の産業の中では、もっとも転職しやすい業種の一つでしょう。
そのためには、まずどのような形でもいいからゲーム業界に入る。アルバイトから正社員になった人はたくさんいます。営業や総務、はては倉庫業務からプランナーになった人も知っています。(もちろん、「プランナーになりたい!」という強い意志と努力の賜物ですが)

その上で、今いる会社が自分の方向と合わないようであれば転職も考える。
どんな形であれ、3年くらいきちんと仕事をしていればゲーム会社で働いた実績は、プラスになります。

また、ゲーム業界を知るという意味でも、インターンは機会があればぜひ体験してほしいと思います。
インターンから就職につながった人もけっこういますし、そもそも外から見ていてよくわかりにくいゲーム会社の中身を体験できるだけでも、自分の就職を考える上で、とても役に立ちます。

ちょうど、福岡市と地元のゲーム会社が協力して実施される「第16回FUKUOKAゲームインターンシップ」が募集中(1/17必着)ですので、お勧めします。県外の人には宿泊費補助などもありますよ!(と、さりげなく地元アピール)



※次回は2014/01/08(水)更新の予定です

2014年1月3日金曜日

【第2回】プランナーは狭き門

最初に脅すようで申し訳ないのですが、新卒でのプランナーは狭き門です。
1つは絶対的にプランナーの枠が少ないこと。
ゲーム関係の仕事で求人が多いのは、プログラマー、デザイナー、プランナーですが、その3職の中も、プランナーは圧倒的に必要な人数が少ないのです。

ゲームのスタッフロールなどでも、プランナーに対してプログラマーやデザイナーが何倍も多いのを目にすることは多いと思います。。
つまり、単純な枠レベルで考えると、就職においてもプログラマーやデザイナーよりも何倍も厳しいということになります。

もう一つは、プランナーの要求されるスキルが、新卒ではなかなかハードルが高いという点です。
プランナーは会社やプロジェクトによって仕事内容がかなり違いますが、大きくは企画パートと実務パートに別れます。

企画パートでは
  • 発想力
  • 構成力
  • マーケティング
  • ドキュメント作成
  • プレゼンテーション
  • コスト意識
実務パートでは
  • メカニクスデザイン
  • レベルデザイン
  • UI
  • スクリプト作成
  • チーム管理
  • コミュニケーション
  • スケジュール管理
  • シナリオ作成
  • プログラムの基礎
  • CGの基礎
  • 映像センス
  • 英語力
等々の、幅広い能力や知識が(常にすべてではないですが)要求されます。

特にディレクターやメインプランナーといった、ゲーム全体の完成度に責任を持つ人間はゲーム製作全体に精通していることを要求されるため、ゲーム製作の経験が乏しい新人ではなかなか対応できません。

それゆえに、プランナーは新卒で取らない会社や、プログラマーやデザイナーからプランナーの才能がある人間をシフトさせる場合も多いのです。

もちろん、新卒でプランナーとして就職できている人もたくさんいますので、悲観する必要はないですが、
「自分はプログラムもできないし、絵も描けないけどゲームの仕事がしたいから」
程度の意識でプランナーを目指しても、なかなかきびしいということは理解いただきたいと思います。

※次回は2014/01/06(月)更新予定です。

2014年1月1日水曜日

【第1回】ゲーム企画書作成の2つのアプローチ方法

『ゲーム企画塾』当面のアプローチ方法は「題材やターゲットユーザーを決めて企画書を作る」というものです。
それに対して「おもしろいゲームシステム(メカニクスデザイン)を考えて、それを企画書にまとめる」アプローチ方法もあります。というか、こちらの方が一般的かもしれません。

ではなぜ『ゲーム企画塾』が「題材やターゲットを決めて企画書を作る」方向からスタートするかというと、大きく2つの理由があります。

1つはゲームシステム方向からのアプローチについては、日本の有名ゲームデザイナーを含め数多くの書籍や研究成果が存在するということです。
そしてもう1つの理由は、多くの学生の企画書が、本来のゲーム企画書ではなく、ゲームシステム概要書のようになっているという点です。

これはゲームシステムから考えた弊害だと思うのですが、そのシステムの説明を一生懸命しようとするあまり、どんどん企画書から離れていってしまうことが多いようなのです。
そこで、学生があまりやっていない方向からゲーム企画を考えてもらうことによって頭を切り替え、より広い視点でゲーム企画書を書けるようにしたいというのが、『ゲーム企画塾』の考え方です。

ただ、アプローチの起点が違うだけで「おもしろいゲームシステム」「題材」「ターゲットユーザー」は三位一体のものです。
題材やターゲットから始めるからといっておもしろいゲームシステムを考えなくていいという訳ではありませんので、誤解しないでくださいね。